サークル「ボクスズキ」の日記ページ「ボクらの日記」ですー。スカルガ、アイマス等で活動中。
ボクらの日記 TOP  > 

ネコミミ探偵トミーの事件簿『ケモノ人間を追え』その5

こんにちは、あんぱんです!

先日、作業用BGMにYouTubeで音楽を垂れ流していたら、ふいにティンとくる曲が流れてきました。

手を止めてYouTubeの画面にいってみると「温泉むすめ」なるコンテンツの視聴用動画で、「さよなら花火」という曲でした。

個人的に夏の歌ってアゲアゲサマー!って感じより、この曲みたいに夏の終わり頃の物寂しげな雰囲気を漂わせてる曲が好きなんですよね~。

というわけで、キャラの性格などはよく分かりませんが、とりあえずボクスズキメンバーで秋保温泉に行ったこともあるし自分は秋保那菜子ちゃんを意味もなく応援しておきますw

まぁ、そんな話は置いといて、『ケモノ人間を追え』その5スタートです!


前回
『ケモノ人間を追え』その4

前回のあらすじ
地下都市に案内され、ケモノ人間たちの正体が「グール」だと教えられたトミーたち。
だが彼らグールは人間に仇なす存在ではなく、それどころか人にとって危険な存在である「ヘビ人間」と戦っていたのだと知る。
一行はグールのリーダー「キミタケ」に依頼され、彼らグールに代わり、ヘビ人間の計画を阻止することになったのだった。




──── 調査3日目 ────

自分たちは外へ調査に出かける前に富永探偵事務所で作戦会議を行っていた。

八木「さて、ヘビ人間の計画を暴いて阻止するためには兎にも角にも、まずはヘビ人間の拠点を見つけ出さないと話になりませんね」

黒江「それなんスけど、昨日キミタケたちに撃退されて逃げてったヘビ人間どもがいたじゃないっスか? アイツらはあの地下洞窟を墓地の穴の方に向かって逃げていったし、拠点もそっちの方向にあるんじゃないかと俺は思うんスけど、どうっスかね?」

八木「ええ、私も同じ考えです。 現状、他に場所を示す手がかりもありませんし、ヘビ人間の拠点は墓地近辺にあるもと仮定しておきましょう」

トミー「ふむ~。 場所以外で拠点の手がかりになりそうなのは、ヘビ人間の人数かな。 昨日の襲撃要員だけでもそこそこな数がいたし、大人数で活動できるような場所だと考えるべきだろうね。 つまり拠点は『墓地の方角にあって』かつ『それなりに大規模な場所』……と、くれば真っ先に思い当たるのは当然────

黒江────八木さんが目をつけてた新興宗教団体のビルしかないっスね」

トミー「だね!」

更に言えば、先日の八木さんの調査によって教団が蛇の神を祀っていることも判明している。

ヘビ人間の拠点として、ここ以上に怪しい場所は考えられない。

八木「決まりですね。 では本日は、教団のビルが本当にヘビ人間の拠点であるのかどうかを調べることにしましょう」

八木さんの言葉に自分と黒江が頷く。

黒江「じゃあ早速、ビルの付近で教団についての聞き込みっスね」

八木「そうですね。 それにビルを監視して、出てきた信者に直接話を聞いてみるというのもアリかもしれませんよ」

トミー「ハイハイハーイ! ちょーっと待ったーー!!」

黒江「ん? どうしたんスか?」

トミー「わざわざ信者が出てくるのなんて待ってないで、入信希望者のフリしてこっちからビルに乗り込んじゃうってのはどうかにゃ!?」

キミタケたちがあと何日間、地下都市を防衛できるか分からないし、少しでも調査の時間を短縮すべきだと自分は考えた。

だが、この自分の提案に八木さんと黒江は渋い顔を見せる。

八木「……大した情報もない内からビルに乗り込むのは、あまりにも危険過ぎませんか?」

トミー「なら、言いだしっぺの自分が1人で行くよ~。 それならいいっしょ? それにさ、いくら信者に聞き込みをしたところで教団幹部の正体がヘビ人間だなんて教えてくれないだろうし、そもそもそんなこと信者は知らないと思うんだよね~。 だったら自分の目で証拠を掴んでこないと」

八木「確かにそうかもしれませんが……、わざわざ入り口に2名も警備員を配置しているような教団ですし、入信希望者のフリをしても、初めてビルに入る際には手荷物検査などが課される可能性もあるんですよ? それがどういう意味か分かりますよね?」

トミー「それくらいは理解してるにゃ」

つまり信者のフリをして乗り込むならば、何らかのチェックをされる場合に備えて、警備員に危険物と受け取られるような道具の類は持っていけず、丸腰で行く必要があるということだ。

トミー「大丈夫大丈夫。 入り口さえ通っちゃえば、あとは信者に紛れて中の様子を探ってくるだけだし、あんまり深入りしてまで調べるつもりもないからね。 道具は持っていかないよ。 それにそもそも自分、武器の類は持ってないしねw」

自分の主な所持品といえば探偵七つ道具くらいだ。

その七つ道具にしたって、今回の偵察にはわざわざ変装していく必要も証拠として写真を撮ってくる必要もないので、不審がられる危険を冒してまでビルに持って行く必要はないだろう。

トミー「とにかく心配しないで任せておくれ。 奴らも自分ら人間がキミタケたちの仲間になって拠点を探ってるなんて思ってもいないだろうし、グールが地上を出歩けない昼の間はきっと油断してるはずにゃ。 その油断を突いて自分がサクッと偵察してきちゃうよ!」

黒江「……本当に大丈夫なんスか? トミーの方こそ、『ヘビ人間が油断してる』って油断をしてんじゃないっスか?」

それまで黙って話を聞いていた黒江が懐疑的な様子で尋ねてきた。

黒江「江戸時代に書かれた忍術書の中に、未熟な忍が陥りやすい『三病』って教えがあって、『敵を軽んずること』はその内の1つなんスよ。 つまり何が言いたいかっつーと、油断したまま敵地に乗り込んだりしたら、あっと言う間にくたばっちまうってことっス」

……言い方はきついが、黒江も八木さん同様自分のことを心配してくれているのだろう。

だが、そんな心配には及ばない。

トミー「ふふふ、安心したまえ黒江よ! 自分、慢心はしてるけど油断はしてないから!!(ドヤァ」

そう。

自分は裏社会で生きてきたギャンブラーや忍者などと違って、基本的に普通の一般人なのである。 

そもそも今回にしたって、3人のうち最後まで引き受けるのを渋っていたのは自分だ。

そんな自分が、危険なバケモノを相手に油断なんてするワケがないのである!

黒江「まったくなんスか、その詭弁は……?」

トミー「たった3人で悪の組織に立ち向かおうとしてるんだから、敵を見くびるつもりはないけど、自信過剰でいるくらいが丁度いいってことにゃ~」

2人はともかくとしても、もともと楽観主義者でノリと勢いに身を任せるタイプである自分は、多少調子に乗っていてこそベストコンディションなのだ。 

トミー「それに、ビビッて身体が硬くなってるよりかは幾分マシっしょ?」

ニヤリと笑って言うと、黒江はヤレヤレと肩をすくめて、しょうがないとでも言うように笑って返した。

黒江「ハッ。 確かに『恐怖』も三病の1つだし、お気楽でいる方がトミーらしいっスね~」

トミー「ふふーん、これで2人とも納得してくれたようだね。 それじゃビルの調査は自分にお任せだよ!」

八木「はいはい、そこまで言われては止める訳にもいきませんね。 頼みましたよ、トミー」

黒江「じゃあビルはトミーに任せて、俺と八木さんは念のため、教団ビルの他に怪しい場所がないか調べるとしましょうか?」

八木「そうですね」

こうして作戦は決まり、自分たちは教団ビルのある場所へと向かったのだった。



────────────────────────────────

1時間後。

教団ビルの近くに到着した自分たちは、近くの建物の陰に隠れて教団ビルの様子を確認していた。

外から見たところビルは4階建てで、八木さんの事前情報通り、入り口には2名の警備員が立っている。

トミー「よし。 それじゃ行ってくるにゃ」

八木「では、お気を付けて。 私たちはトミーが無事にビルに入れたのを見届けてから聞き込みに向かいますよ」

トミー「うん。 じゃあまた後で!」

それぞれの調査が終わった後に2人とは再びこの場所で落ち合う約束を交わし、自分はビルの入り口の警備員たちに歩み寄っていった。

トミー「こんにちはー!」

警備員A「ん? なんだねキミは?」

トミー「すみません、自分ここの教団に入信したいんですけど……」

警備員A「ああ、入信希望者か。 ……というか、なんなんだねその耳は?」

警備員B「ネコミミなんてつけて、可笑しな奴だな」

トミー「ははは。 ……自覚はしてます」

もうネコミミについて、アレコレ言われるのも想定内である。

警備員B「自覚があるとは、ますます可笑しな奴め……」

警備員たちはジロジロとこちらの姿を改めた。

警備員A「ふむ、ネコミミの他には変わった物はもっていないようだな。 では付いて来なさい」

トミー「はーい」

姿恰好を改めるだけで持ち物検査はされないようだ。

念のために七つ道具は事務所に置いてきてしまったが、まぁいいだろう。

とにかく第一関門を無事突破し、自分はビルへの潜入に成功した。

警備員A「……おっ、鈴木さん丁度いいところに! こちらは新しい入信希望者だ。 彼を案内してやってくれないかい?」

鈴木「ええ。 分かりました」

警備員A「それでは私は入り口の警備に戻るから、あとは頼んだよ」

警備員Aはビルの1階エントランスにいた鈴木という中年男性に自分の案内を任せ、入り口へと戻っていった。

鈴木さんと軽く会話をしたところ彼は教団側の人間という訳ではなく、自分より先に入信した先輩信者だそうだ。

気さくで人が良さそうだし、彼からは教団について色々と訊き出せそうである。

鈴木「私たち信者が使う修練場は2階にありますので、とりあえず2階に行きましょうか」

鈴木さんの案内に従って階段に向かう。

すると、このビルの1階には上り階段だけじゃなく下り階段も存在することに気付いてしまった。

トミー「あれ、もしかしてこのビルって地下もあるんですか?」

鈴木「ええ、地下1階までありますよ。 もっとも地下は私たち信者は立ち入り禁止ですけどね」

外観から4階建ての建物だと思っていたのだが、まさか地下フロアがあったとは……。

だが偵察の時点で地下フロアの存在を知ることができたのは大きな収穫と言えるだろう。

2人に報告すべき情報が早速手に入ったことに少し上機嫌になりながら、自分は鈴木さんと共に2階の修練場に向かった。


鈴木「さぁ着きました。 ここが修練場です」

修練場は2階に上がってすぐの部屋だった。

鈴木さんが扉を開けると、中には自分が思っていたより大勢の人間が集っていた。

見た限りでは幹部らしき人物はいない。

おそらくここにいる全員が鈴木さん同様、先輩信者という訳だ

信者たちは男性女性隔たりなく、年齢層も若者から高齢者までと幅広かった。

トミー「驚きました~。 ずいぶん人がいるんですね。 いつもこんなに集まるんですか?」

自分がそう尋ねると、鈴木さんは少し興奮気味にこう答えた。

鈴木「実は今日は定期集会の日で、しかもなんと本日は巫女様も参加なされるそうなのです。 巫女様が『謁見の間』以外で私たちに姿をお見せしてくださるのは、とても珍しいことなんですよ。 富永さんは入信しに来たばかりだというのに、早速巫女様に拝謁できるなんて運がいい!」

ふむふむ、おそらくはその巫女様とやらが、教団の最高幹部である「イキガミ様」とか呼ばれてる女なのだろう。

念のため、鈴木さんに確認してみる。

トミー「その『巫女様』というのは? 教団の噂で『イキガミ様』という名は聞いたことがあるのですが……」

鈴木「ええ、巫女様はイキガミ様とも呼ばれております。 私たち信者にとって、まさに神様のような方なんですよ」

やはりそのようだ。

しかもこれからここに来るとは、鈴木さんの言うとおり我ながら実にツイてる。

トミー「そんな方に早速会えるなんて、楽しみです!」

このビルがヘビ人間の拠点かどうかを確かめるには、教団幹部の正体を見極めるのが一番だ。

すなわち単純に、幹部がヘビ人間だったならアタリで、普通の人間だったのならハズレという訳だ。

それも最高幹部であるイキガミ様ならば証拠として申し分ない。

……正直に言って入り口の警備員たちは近くで会話をしても人間にしか見えず、正体がヘビ人間なのかどうかなど全く分からなかった。

だが、警備員の正体を見極めることにはあまり意味がないのだ。

仮に彼らがヘビ人間だと判明すればそれが証拠になるが、その逆に人間だと判明した場合には、教団が只の人間を警備員として雇っているだけの可能性も考えられるため、なんの証拠にもならないからである。

だからこそ、自分は巫女様の正体を見極めることだけに全神経を集中させればいい。

トミー「……巫女様は具体的にどういった方なんですか?」

鈴木「そうですね~、それはお会いになってからのお楽しみということで! きっと富永さんも驚きますよ~!」

集会が始まるまでに巫女について色々と訊いておこうと思ったのだが、鈴木さんは詳しく教えてくれなかった。

はぐらかされたと言うよりも、何やらもったいぶられたという感じだ。

ここであまりしつこく訊いたら不審がられる恐れもあるし、自分は当たり障りのない世間話などで信者の輪に溶け込みつつ集会が行われるのを待つことにしたのだった。



────────────────────────────────


そのまま数十分ほど時間を潰していると、突如修練場に歓声が上がった。

自分は何が起こったのかすぐに察した。

ついにお待ちかねの人物のご登場という訳だ。

そのことを示すように、信者たちがワッと修練場の入り口に集まっていく。

信者A「来たぞ! イキガミ様だっ!!」

信者B「ああ、巫女様!」

信者C「巫女様ぁー!!」

鈴木「来ましたよ! あの方が私たちを導いてくださる巫女様です!」

そうは言うが、周りを取り囲む信者たちが邪魔で、肝心の巫女の姿がよく見えない。

トミー「……ぐぬぬ、見えない……」

懸命に背伸びをしてみたが、無駄。

それならばと、ピョンピョン飛び跳ねてみたが、それすらも無駄だった。

自分の背の低さを呪う……。

トミー「ふん。 まぁ、いいさ……」

どのみち、囲まれているところをチラッと覗き見た程度では正体は確かめられない。

それに胡散臭い宗教の最高幹部である巫女様など、ミステリー漫画によく出てくる「祟りじゃあー!!」とわめき散らす謎の婆さんみたいな奴に決まっているのだ。

そんな面を拝むのは集会が始まってからでも遅くないだろう。

だが集会が始まるのを大人しく待とうと思った矢先、巫女の方がこちらの存在に気づいた。

巫女「……あら? 今、後ろの方で跳ねていらっしゃった方は、新しい信者の方でしょうか?」

トミー「む?」

どうやら飛び跳ねたことは無駄ではなかったようだ。

こちらに興味を示した巫女のために、彼女を取り囲んでいた信者たちが左右に分かれて道を開く。

その道を巫女がまっすぐ自分に向かって歩み寄ってきた。

トミー────!?」

その姿を見て、自分は言葉を失った。

巫女「ふふふ、初めまして」

トミー「は、初めまして……」

戸惑う自分はやさしく微笑む巫女に対し、ぎこちなく挨拶を返すのがやっとであった。

それほどまでに唖然とせざるを得なかった。

……巫女はきっと祟りババアだなんて自分の想像は、とんだ見当違いだったのだ。

目の前で、ニコニコと微笑む巫女────

その姿は10代半ばほどの美しい少女だった。



その6へ続く





トミーのプレイヤーである自分がリスク承知で半ば強引にビルの探索を推し進めたのは、手早く探索してタイムリミットに猶予を持たせるためという理由のほかに、実はキャラ作成の際にトミーを探索要員にしようと思って作成していたからという理由がありました。

「変装」に技能ポイント極振りしてMAXにしたのはその名残ですねw

この時はまだ、戦闘パートになったら八木さんと黒江に任せて自分はサポートに徹しようと思っていたのです。

そして、だからこそ戦闘が起こる前に自分も多少無茶してでも役に立っておこうと考えたのです。

そう、この時はまだ……


それでは今回は、この辺で。

スポンサーサイト

ネコミミ探偵トミーの事件簿『ケモノ人間を追え』その4

こんにちは! ただ今ミリシタ絶賛プレイ中のあんぱんです!

最近ガチャが更新されましたが、無事20連だけで限定百合子が引けました~( -`ω-)どや!


前回
『ケモノ人間を追え』その3

前回のあらすじ
墓地の穴から続く地下洞窟を調査していたところ、3人は洞窟の奥から銃声が聞こえてくることに気付く。
とっさに身を隠したが、トミーが上手く隠れるのに失敗してしまったためケモノ人間たちに見つかってしまう。
だが思いのほか彼らは友好的で、トミーたち一行はケモノ人間が暮らす地下都市へと案内されるのだった。




自分たち3人は、おそらくこの地下都市のメインストリートに当たるのであろう大きな道をケモノ人間たちに率いられ練り歩いていた。

見たところ建物は基本的には石造りでヨーロッパの古代遺跡のような街並みだが、街を照らしているのは松明などではなく、道沿い立っている街灯の明かりであり、どこかアンバランスな印象を受ける。

しかも、よく見るとガス灯ですらなく、電灯のようだ。

黒江「こんな地下の街にも電気が通ってるんスね」

ケモノ人間「ああ、ちょいとばかり地上から拝借させてもらっているよ。 人間の街から勝手に盗んでいる事になる訳だが、我らがここで暮らすためにもなにかと電気は入用でね。 その辺は大目に見てくれ」

トミー「ほえ~」

自分はキョロキョロ辺りを見回しながら皆の後について行く。

その様子はさながら「おのぼりさん」に見えるだろう。

ケモノ人間「さぁ、ここだ」

彼らに案内された場所は、街の中心に位置する一際大きな建物だった。

ケモノ人間「この建物はこの街の中枢であり、私たちの信仰する神もここに祀られている。 早い話が神殿だ」

八木「なるほど。 納得の壮観さですね」

絢爛豪華な建物というわけではないが、どことなく神々しさを感じる。

自分たち3人は神殿の中の会議室のような部屋に通され、席に着いた。

ケモノ人間────彼らへの話は私がする。 他の者は全員持ち場に戻れ」

リーダー格の者が指示を出すと、彼以外のケモノ人間たちは一人を残し、神殿を去っていった。

残った一人は席に着かず、そのままリーダーの席の後ろに控えた。

おそらくはリーダーの付き人的な役職なのだろう。

ケモノ人間「……さて、キミたちをここに呼んだのは他でもない、実はキミたちに一つ頼み事をしたくてね。 ……と、その前にまずは自己紹介をしておこうか。 私の名は『キミタケ』。 この街の長をしている」

それに続き自分たちも軽く自己紹介をする。

すると、キミタケは黒江の自己紹介に反応した。

キミタケ「ほう、キミは忍なのか。 これは好都合かもしれんな」

黒江「……そう言うあなたたちは何者なんスか?」

キミタケ「おっと、これはすまない。 キミたちは『ケモノ人間』の正体を求めて調査をしていたのだったな? まずはそれに答えるのが礼儀だったな。 我らは『食屍鬼』。 『グール』と名乗った方が分かりやすいかな?」

黒江「食屍鬼っ!?」

ケモノ人間の正体に、黒江が目を剥く。

自分も「グール」という名には聞き覚えがある。

確か、人間を襲って死肉をあさる怪物たちだったはずだ。

キミタケ「安心したまえ。 少なくともこの街に暮らすグールは、キミたち生きている人間を襲ったりはしない。 それにこの国は土葬ではなく火葬が主流であるため、墓をあさって骸を貪るような真似もしていないぞ。 ここでは動物の肉を主食にしているよ」

黒江「なるほど……」

黒江はホッと息をついた。

彼らは人間に害をなさぬようなので、退治する必要はないと判断したのだろう。

……さて、ケモノ人間と敵対する必要がないことがハッキリ分かったところで、自分はどうしても彼に言っておきたいことがあった。

トミー「……1つ、いいかな?」

キミタケ「なんだね?」

トミー「……『キミタケ』が『キミたち』って言ってると思うと、なんかジワるにゃ」

八木「トミーもですか。 実は私もそれが気になって仕方ありませんでした(メガネクイッ」

トミー「八木さんもか。 ジワるよね?」

八木「ええ、ジワジワ来ます」

黒江「ちょっとあんたら! 少し前まで、初めて見る異形の者の姿にビビってたはずなのに、なんでそんなどうでもいいこと、真顔でジワウケしてんスか!?」 

キミタケ「あー……、話を戻していいかね?」

キミタケは自分たちの茶々をさらりと受け流した……と見せかけて、その顔はどこか気恥ずかしそうな様子。

野生的な見た目に反し、内面は意外とナイーブらしい。

キミタケ「では話を戻すが、この街のグールは面倒事が嫌いでね。 先ほど言ったように、電気こそ人々に気づかれぬよう少しずつ拝借させてもらっているが、普段は極力地上に出ることなくこの地下都市で静かに暮らしているのだ。 キミたち人間にこの街の存在が発覚しては不味いからね。 ……だが最近になって、ただ地下で安穏と過ごしているわけにもいかなくなってしまったんだよ」

黒江「その原因が『奴ら』っスか?」

キミタケ「ああ、その通りだ。 ……ふーむ、そうだなぁ『ケモノ人間』という呼び名にならって奴らのことを仮に『ヘビ人間』と呼ぶことにしよう。 奴らヘビ人間もキミたちが言うところの『異形の者』であり、我々グールとは敵対関係にある存在なのだ」

ヘビ人間────。

先ほどグールたちと銃撃戦をしていた連中も異形の者だった訳か。

キミタケ「実を言うとこの地下都市は、元々はヘビ人間たちの街だったのだ。 太古の昔、奴らヘビ人間は大いに繁栄していた。 だが盛者必衰というべきか、いつしか次第に衰退していき、それに伴っていくつもの街が打ち捨てられたそうだ。 この街もそんな捨てられた街の一つでね。 空になっていた所に我らグールが新たに住み着いたという訳だ」

八木「……つまり先ほどあなた方と戦っていたヘビ人間たちは、かつて先祖たちが放棄してしまった地下都市を奪い返そうとしていたという事ですか?」

キミタケ「ああ、そうだ。 だが我らグールの一族がこの街に住み着いてから既に久しい。 もはやこの街は我らの故郷であり、そう易々と奴らに奪い返されるつもりはない」

黒江「じゃあ俺たちに頼みたいことってのは、襲撃してくるヘビ人間の撃退を手伝って欲しいってことっスかね?」

キミタケ「……それは少しだけ違うな。 どうも奴らは地下都市の奪還だけが目的ではないようなのだよ」

黒江「と、言うと?」

キミタケ「我らも最近気づいた事なのだが、どうやら街の奪還は目的ではなく手段に過ぎず、奴らはそれ以上の何かを企んでいるようなのだ」

トミー「何かって何にゃ?」

キミタケ「それは分かっていない。 だが、とんでもない大掛かりな事を企んでいることだけは確かだ」

キミタケはそこで一度顔をしかめ、重たい溜息を吐いてから話を続けた。

キミタケ「……実はこの辺りの地域には、この街の他にもかつてヘビ人間が放棄した都市遺跡がいくつか存在していてね……。 そして、それら全ての街が『龍穴』の上に造られているんだ」

トミー「『龍穴』……ってなんだっけ? なんか聞いた事がある気はする……」

 黒江「陰陽道や風水術において、繁栄がもたらされるとされてる土地のことっスよ。 この大地には『龍脈』っていう自然エネルギーが流れる通り道があって、その自然エネルギーが大地から溢れてる場所が『龍穴』っス」

八木「日本国内で有名な場所だと、伊勢神宮や日光東照宮などがそうですね」

トミー「なるほど、つまりパワースポットか!」

キミタケ「ああ。 だが困ったことに、この街以外の全ての遺跡が既にヘビ人間たちの手に戻ってしまったのだ」

八木「……ヘビ人間たちは龍穴の力を何らかの計画に利用しようとしているということですね。 そしてこの街こそが最後の砦であると……」

この街がヘビ人間に奪取されてしまえば、この地域一帯全ての自然エネルギーがヘビ人間の手に渡ってしまうということか。

キミタケ「我らも懸命に奴らの企みを暴いて防ごうとはしているのだが、奴らの活動拠点はどうやら地上にあるようで、我らは深夜に人間の目を避けての行動を余儀なくされていてな……。 そのため未だに奴らの計画内容はおろか、拠点の正確な場所すら判明していない始末だ……」

トミー「地上に拠点!? じゃあヘビ人間の企みってのは、もしかして地上侵略なのかにゃ……?」

八木「その可能性は大いにあるでしょうね……。 そして、あなた方グールが地上に姿を現すようになったのは、ヘビ人間の拠点を探していたためだったんですね」

キミタケ「そうだ。 我らとしては人間に見つかり、噂になるつもりはなかったのだがな」

目撃例が一件や二件というレベルではないことは、彼らの名誉のために黙っておこう。

きっと、獣耳なんてついてると悪目立ちしてしまうんだ。

ちょっと同情……。

黒江「えっと……、ちょっと待ってほしいっス。 なんで食屍鬼たちは深夜にコソコソ行動してるってのに、ヘビ人間の方は地上に拠点を持てる上に、昼間っから堂々とこっちに攻撃に来れるんスか?」

キミタケ「ふむ、キミたちは逃げていく奴らの顔を見ていないようだな。 厄介なことに奴らは人間ソックリに擬態することが出来るんだよ」

黒江「マジっスか!? 確かにそいつは厄介っスねぇ」

なんと、変装は自分の十八番なのに思わぬライバル出現だ。

キミタケ「しかも奴らは真っ暗な闇の中でも目が利いてな。 我らも夜目は利くほうなのだが奴らほどではなく、暗い地下洞窟での戦いはどうしてもこちらが不利になってしまうのだ。 かと言って街の明かりが届く場所まで奴らを引き寄せるリスクなどは背負えないしな……」

なるほど、つまりヘビ人間たちは明かりなど必要なく、この街の街灯はグールたちが住むようになってから立てられたってことか。

どうりで街灯だけ古代風の街並みに不釣合いな訳だ。

キミタケ「このままでは我らはジリ貧で、この街が奴らに奪われるのも時間の問題だろう。 ……そこで本題だ。 我らに代わりヘビ人間たちの企みを暴き、それを阻止してくれないだろうか? 計画さえ阻止できれば、奴らがこの街を奪おうとする理由もなくなるはずなのだ。 どうか頼む!」

黒江「なるほどね。 そういう事なら、もちろん俺たちに任せ────

トミー「お断りにゃああぁぁーー!!」

黒江「ハアァァーーッ!? ちょ、トミー!? なんで今の流れでそうなるんスか!?」

トミー「だってヘビ人間って人間に擬態できちゃうような、とんでもないバケモノなんでしょ? そんなバケモノの計画を阻止しろなんて、どう考えても一介の私立探偵の仕事じゃないじゃん!」

自分がケモノ人間についての調査を始めたのは自らの無実を証明するためであって、バケモノたちが跋扈する不思議な世界に首を突っ込むためではない。

こうして本物のケモノ人間が見つかったのだから自分の無罪は証明できたワケだし、これにてお役御免だ。

トミー「黒江がキミタケに協力しようと、悪いけど自分はここで降りさせてもらうからね!」

黒江「キミタケに協力しないで地上に戻ったところで、この街が敵の手に落ちれば、どのみち人間にも害が及ぶかもしれないんスよ! それにトミーは危険を省みないハードボイルド探偵目指してるんじゃなかったんスか!?」

トミー「ハードボイルドってのはヒロイン役にセクシーな美女がいて初めて成り立つジャンルなんだよ! 登場人物が男とケモノとヘビしか出てこない事件なんかに、とてもじゃないけど命なんて懸けられないにゃあ!!」

八木「……トミーの言うことにも一理ありますね。 私たちは黒江と違って特別な訓練など受けていませんし、バケモノに関わる仕事など安請け合いはできませんよ」

黒江「なっ!? 八木さんまで!?」

そら見たことか、やはり八木さんも乗り気じゃない。

これで協力することに反対なのが2名、賛成が1名。

もはや答えは出たと言えよう。

たが、その様子を見ていたキミタケがふいに話に割って入ってきた。

キミタケ「……まぁ、キミたちにしてみれば急な話ではあるし、こちらも簡単に受諾してもらえるとは思っていないよ。 ……では『頼み事』ではなく『依頼』ではどうだろうか?」

八木────!」

その言葉に八木さんがピクリと反応する。

キミタケ「おい、アレを取ってきてくれ」

ケモノ人間(部下)「はい、ただいま」

キミタケが自身の後ろに控えていた部下に指示を出すと、部下は別の部屋から小さな飾り箱持ってきて、それをテ-ブルの上に置いた。

キミタケ「開けてみたまえ」

言われた通りに箱の蓋を開け、自分は目を丸くした。

トミー「こ……これは……っ!!」

圧倒的な存在感。

煌びやかな輝き。

箱に入っていたのは、紛うことなき金の塊だった。

キミタケ「小さなものだが、それだけで日本円にして100万円の価値はあるだろうな。 私たちに代わってヘビ人間の計画を阻止してくれたあかつきには、この街で所有している全ての金塊をキミたちに報酬として支払おうではないか」

八木さんが目の色を変えた。

トミー「や、八木さん!? いくら金に目が眩んだからって、協力するのは危険過ぎるって!!」

八木「……おや? 知らないんですか、トミー? 金は命より重いんです」

この男、完全に乗り気になってる……!

これで賛成反対の多数決は逆転してしまった。

トミー「う~ん……。 そうだ! 八木さんは警察官な訳だし、警察本部に応援を呼べば────

キミタケ「それは駄目だ。 そんなことをすれば我らの存在が人間に広く露見してしまう可能性があるからな。 出来る限り少人数で秘密裏に行動して欲しい」

トミー「秘密裏って言ったって……。 ……じゃ、じゃあ黒江の忍仲間は!? 忍たちなら本職だし、秘密裏に行動してくれるはずにゃ!」

黒江「……それは難しいっスね。 少なくともヘビ人間の計画内容を明らかにしないと、新米の俺に仲間を動かす力はないっスよ」

……つまりどうあっても、自分たち3人だけでやらなきゃいけないということか。

やはり危険すぎる。

トミー「ぐぬぬ……。 2人が乗り気になったところで、自分は絶対イヤだからね!」

自分の首を縦に振らせたいなら、このまるで華のない依頼に、美女の1人や2人連れて来いってんだ!

トミー「自分はやらないったら、やらないからねっ! いくら金を積まれようとトミーは自分を曲げないよ!」

そんな自分に、八木さんがそっと囁いた。

八木「……古今東西、金持ちの男は女性にモテモテ。 それがこの世の真理ですよ?」

トミー────!」

……お金があれば……モテモテ?

八木さんの悪魔的囁き!!

自分の覚悟がグリャリと歪む……!

トミー────2人とも、いつまでここにいるつもりだァ!? さっさと悪の組織を潰しにいくぞおぉッ!!」

八木「ふっ、私の準備ならとっくに出来ていますよ!」

黒江「……なんともまぁ現金な奴らっス……」

キミタケ「おぉ! それでは、やってくれるのだな?」

トミー「もちろんにゃあ! ヘビ人間の計画なんてサクッと阻止して、晴れてモテモテになってやんよぉ!!」

キミタケ「では、よろしく頼むぞ! この街の守りは、もってあと数日といったところだ。 この街が陥落する前に、なんとしてでも奴らの計画を暴き、阻止してくれ!」

自分たちはキミタケとガッチリと握手を交わした。

こうして自分たち3人は報酬の金塊と引き換えに「ヘビ人間の計画を阻止する」ことになったのだった。



その5へ続く



いや~、依頼を素直に引き受けなかったり、警察組織を頼ろうとしたり、まったくトミーは悪い探索者ですね~w

それでは今回はこの辺で。

ネコミミ探偵トミーの事件簿『ケモノ人間を追え』その3

こんにちは! カラオケでキーを下げまくらないと声が出ないあんぱんです!

八木さんやスーが普段のイメージに反して意外とロックな歌を歌いこなし、三咲さんがブレることない安定した歌声で採点高得点を叩き出し、モナカ社長が自慢のシャウトやハイトーンボイスで場を盛り上げる中、安定せずに声が裏返ったり細々とかすれた声で歌うのがこの俺さ!(`・ω・´)


前回
「ケモノ人間を追え」その2

前回のあらすじ
一行が手分けしてケモノ人間について調査した結果、八木は怪しい宗教団体を見つけ、黒江は墓場で怪しい穴倉を発見した。
その墓場で黒江が撮影してきた写真を3人で確認すると、穴蔵の暗闇の中に何者かの眼光がうっすらと写り込んでいたのだった。




──── ケモノ人間の調査を始めて2日目 ────


自分たち3人は黒江の見つけた穴を詳しく調べるため、墓地に来ていた。

トミー「お~い八木さーん! 大丈夫か~い?」

穴の安全を確認するために先に1人で底に降りていった八木さんに穴の様子を尋ねる。

八木「今、底に着きましたが、やはりここから横に穴が続いていますね。 見たところ崩落などの危険はなさそうですし、2人も降りてきてくださーい!」

どうやら大丈夫なようだ。

自分と黒江も縄梯子を伝って穴の底へ降りていく。

トミー「……よっと。 ふぅ~、思った以上に深かったにゃ~」

黒江「そっスね。 にしても探偵事務所に都合よく縄梯子なんてものがあって助かったっスよ」

トミー「ふっふっふ。 何を隠そう、この縄梯子もとい『麻縄』こそ我が探偵七つ道具の1つなのだよ! 名探偵たるもの、七つ道具を持っていて当然だからね~(ドヤァ」

黒江「へぇー(無関心)」

麻縄はこうして縄梯子にして使うも良し、危険人物を拘束するのに使うも良しの便利な道具なのだ。

七つ道具の内訳は人によって違うが、自分の場合は「麻縄」、「手鏡」、「ウィッグや化粧品などの変装具」、「懐中電灯」、「方位磁石」、「筆記用具」、「デジカメ」の七つである。

もっとも今回は穴蔵の調査に来ているので、当然全員が懐中電灯を持参している。

八木「さて2人も降りてきましたね。 では行きましょうか」

自分たちは早速、穴の底から続いていた洞窟を奥へと進んでいく。

トミー「う~ん、なんだか不気味な洞窟だにゃ~。 ここってどう見ても自然にできた物じゃないよね?」

黒江「見たところ最近になって掘られたってワケでもなさそうだし、かと言って戦時中に使われた防空壕ってワケでもなさそうっスね」

八木「他に考えられそうなのは可能性としては廃鉱となった鉱山跡地ですが、そういう訳でもなさそうですね」

ではいったい誰が、何のためにこんな洞窟を……?

いよいよ昨日の黒江の話が真実味を帯びてきた。


昨日黒江が写真に写る眼光を見た時に発した耳慣れぬ言葉────『異形の者』

その言葉を聞いた自分は異形の者とは一体何なのかを黒江に尋ね、その時初めて自分と八木さんは「異形の者」と呼ばれる人ならざる存在がこの世に実在する事と、忍たちが昔から異形の者の退治を生業の一つとしてきた事を黒江に聞かされ知ったのだった。

トミー「やっぱり昨日黒江が言ってたように、ケモノ人間が本当にバケモノで、この穴はバケモノの棲み処ってことなのかね……?」

黒江「実際のところ、俺もこの目で直接異形の者を見たことはないんで詳しいことは言えないっスけど、少なくとも写真に写り込んでたのは絶対に異形の者の瞳っス。 それだけは間違いないっスよ」

八木「黒江の話を信じ、異形の者とやらが本当に存在すると考えるならば、この洞窟が棲み処ではなかったとしても、この先で何らかの活動をしている可能性は大でしょうね」

トミー「…………異形の者かぁ……」

身の潔白を証明するために不審者を追っていただけのはずなのに、こんなオカルトチックな事態になるとは……。

調べてみたら犯人が人間じゃなかったなんて、まるでポーの『モルグ街の殺人』だ。

いや今回の場合、犯人は正真正銘の「ケモノ人間」だというのだから、乱歩の『人間豹』と表現するのが適切か……。

トミー「う~ん、大丈夫かなぁ? 身ぐるみ剥がされて裸にされた上に熊の毛皮着せられて、サーカス小屋で虎とデスマッチさせられたりしないかにゃあ……?」

黒江「なんの話っスか、それ?」

トミー「乱歩の『人間豹』だよー。 この犯人は明智をも出し抜く強敵でさ~。 明智シリーズには変装スキル持ちが何人も出てくるんだけど、コイツも半人半獣のバケモノのくせに変装スキル持ちで、明智に変装して新婚ホヤホヤの明智の奥さんの文代さんを────────

説明を途中でとぎり、自分は立ち止まった。

八木「……どうしました? 文代さんはどうなるんです?」

トミー「いや、それより……今なんか、奥から変な音が聞こえてこなかった?」

洞窟の奥から不可解な音が聞こえた気がして、自分は音に神経を集中させた。

八木さんたちも同じように耳を澄ます。

八木「確かに聞こえます! この甲高い破裂音は、まさか────!」

黒江「これは……銃声っスよ! この奥で誰かがドンパチしてるんスッ!!」

トミー「ハァ、銃声!? ドンパチって、撃ち合ってるってこと!? って事はケモノ人間って銃、持ってるワケ!?」

思いがけぬ事態に自分だけでなく、八木さんと黒江も慌てふためいた。

一体何が起こっているんだ?

ケモノ人間たちの同士討ち?

それとも自分たち以外の何者かが先にケモノ人間を退治に来ていたのか!?

なにがなんだか分からないが、音の様子から察するに銃撃戦は2、3人などの規模ではなくもっと大人数で行われているようだ。

トミー「と、と、と、とにかく、すぐに引き返そう!」

ここにいては訳も分からぬまま銃撃戦のいざこざに巻き込まれる可能性がある。

だが自分がそう言った直後、奥から声が響いた。

??「撤退だ、急げッ!!」

どうやら自分たちが銃声に気づいた時には既に戦いは終盤を向かえていたようだ。

銃撃戦をしていた一団が撤退を始めたようで、大勢が走ってこちらに退却してくる音が聞こえてくる。

それも相当な足の速さだ。

この速さでは、自分たちが穴の出口に走っても追いつかれてしまうかもしれない。

八木「不味い……! 今は逃げるより隠れてやり過ごしましょう!」

自分たちは急いで懐中電灯の明かりを消し、近くにあった岩の後ろに身を隠した。

しかし…………

トミー「……ねぇ、これ……自分、はみ出てないかにゃあ?」

なんてことだろうか、自分は岩の後ろに収まりきる事が出来ずに、明らかに足が岩の陰からはみ出ている。

八木さんと黒江の2人は職業柄、身を隠すといった隠密行動の技術を身に付けているのだが、隠れたりせずに変装で相手を誤魔化すことに特化している自分は隠密の心得など持ってはいなかった。

まさかそのことが、こんなところで足を引っ張るだなんて……。

この岩陰の他に隠れられそうな場所はないし、足音はすぐそこまで迫っている。

────────もうダメだ、見つかる!

先にやってきた撤退中と思われる一団は、こちらに気付くことはなく一目散に岩の前を駆け抜けていったものの、少し遅れて追いかけてきた別の集団が岩の前で足音を止めた。

襲撃者を追い払った集団であるということは、今足を止め岩の前にいる集団こそがケモノ人間だということなのか…?

???「……そこの貴様、それで隠れてるつもりなのか? 大人しく出て来い」

心臓を凍りつかせるかのような、しゃがれた男の低い声が洞窟に響いた。

岩陰に隠れている自分からは相手の姿は見えないが、相手が自分に向かって話しかけているのは明白だ。

相手の声が流暢な日本語だったため、異形の者などというバケモノではなく結局は只の人間だったんじゃないかという安堵感が一瞬頭をよぎったが、相手が人間にしたって銃撃戦などしていた連中なのだから危険な存在には違いないだろう。

果たして捕まったら、尋問だけで済むだろうか……?

だが、今更逃げ出したところで逃げ切ることなどできないだろう。

ここは相手の怒りを買わぬよう大人しく指示に従ったほうが賢明だ。

しかしその前に、2人に確認せねばならないことがある。

自分は小声で八木さんと黒江に話しかけた。

トミー「……見つかってるのは自分1人だけみたいだし、ここは自分だけ出て行こうか?」

隠れるのに失敗して岩からはみ出ていたのは自分だけであり、現に相手も「貴様たち」ではなく「貴様」と言った。

つまり八木さんと黒江は見つかっておらず、このまま隠れているという手もあるのだ。

しかし八木さんは首を横に振った。

八木「いえ、私も行きますよ。 それに問答無用で撃ってこないところを見る限り、相手もいたずらにこちらに危害を加えるつもりはないようですよ」

黒江「それにトミーは言いくるめも説得も下手っスからね~。 俺か八木さんが交渉しないと、話かこじれて助かるもんも助からなくなるっスよ」

……まったく2人とも黙って隠れていればいいものを、自分はいい仲間に恵まれたものだ。

黒江「……なにニヤニヤしてんスか?」

トミー「別に。 2人が一緒なら頼もしいなと思ってただけにゃ~」

八木「さぁ、相手が痺れを切らす前に大人しく出て行きましょうか」

自分たち3人は両手を高く掲げて抵抗する意思のないことを示しながら、隠れていた岩の後ろから出ていった。

???「……ほう、1人だけかと思っていたが3人も隠れていたのか」

岩の前で待ち構えていた男たちの内の数人がランプを持っていたため、彼らの姿が暗い洞窟の中に浮かび上がっていた。

トミー────!! ひょえああぁぁーッ!?」

その姿を見て、自分は驚いて妙な悲鳴をあげてしまう。

そこにいたのは腰の辺りから尻尾を生やし、犬のような頭をした人間たち……

いや、「人間」ではない。

今自分の目の前にいるのは間違いなく人にあらざる者────「異形の者」であった。

トミー「ほ、本当に『ケモノ人間』だ……」

岩から出る前は流暢な日本語から人間かとも思ったが、やはり黒江の言ったとおり異形の者だった。

その頭はどう見ても被り物ではない。

自分のように悲鳴こそ上げなかったものの八木さんも当然ながら驚いて呆然としているし、黒江ですら生まれて初めて実際に目の当たりにする異形の者に動揺の表情を隠せずにいた。

ケモノ人間「……むっ! なんだ貴様、その耳はっ!? ……まさか我らの同胞なのか!?」

…………はい?

驚いたのは自分たちだけではなかったようで、ケモノ人間たちもざわめき始めた。

どうやら自分のネコミミを見て、同胞なのではないかと戸惑っているようだ。

こちらはそちらと違って正真正銘作り物なのだが、とりあえずその勘違いに便乗しておこう。

トミー「そうだよ!」

ケモノ人間「……いや、この匂い…ただの人間だな。 よく見れば、ただの作り物の耳ではないか」

残念ながらすぐに見抜かれてしまった。

ネコミミを付け始めて以来、初めて役に立つかと思ったけど、やっぱ役に立たないなこのネコミミ……。

ケモノ人間「訊かせてもらおうか。 貴様たちは何をしにここに来た?」

リーダー格の男が銃を突き付けながら、こちらに詰め寄ってくる。

八木「……私は警察の者です。 最近街を騒がせているケモノ人間の噂について仲間たちと共に捜査をしていました」

ケモノ人間「……奴らとの関係は?」

八木「奴ら? 先ほど逃げていった連中のことですか? 連中のことなど私たちは何も知りません。 我々とは全くの無関係ですよ」

黒江「俺たちはただ、怪しい穴蔵を見つけたんで中を調べてたら急に銃声が聞こえてきたから岩陰に隠れてただけっス」

ケモノ人間「つまり、奴らの仲間ではないのだな?」

八木「はい」

ケモノ人間「……ふむ、嘘を吐いている様子はなさそうだな」

八木さんが素直に答えると彼は突き付けていた銃を下ろした。

ケモノ人間「うーむ……地上ではもう我らのことが噂になってしまっているのか……。 面倒だな……」

すると今度はブツブツと一人で呟きながら、なにやら悩み始めた。

そうやってしばし逡巡した後、彼は自分たちを眺めて何か妙案を思い付いたかのように口元を緩める。

ケモノ人間「ふむ。 キミたちは我らの姿を見ても発狂して取り乱したりせぬし、なかなかに肝が座った人間たちのようだ」

彼の口調が穏やかなものになり、呼び掛け方が「貴様たち」から「キミたち」に変わったことに自分は気づいた。

とりあえずは信用してもらえた……という事だろうか?

彼らを見ても発狂せずに済んだ理由は、黒江に前もって異形の者の存在について聞いていたお陰であろう。

半信半疑ながらも事前に一応の心構えが出来ていたという訳だ。

ケモノ人間「どの道、この場所や我らの存在を知られてしまった訳だし、キミたちには詳しい話をしなければいけないだろうな。 ……ひとまず場所を変えようか」

そう言うと彼はきびすを返し、洞窟の奥深くへと歩きだした。

彼の仲間たちも彼の後に続く。

八木「……ここは従っておくべきでしょうね」

黒江「そうっスね。 街を騒がせてる異形の者にしては今のところ友好的なようだし、何が目的で地上に姿を現してるのかちゃんと聞いておいた方がよさそうっスね」

自分たちも彼に従い、後を追うことにした。


────────それからどれほど歩いただろうか。

途中、何箇所か分岐している道があった。

どうやら地上とこの洞窟を繋いでいる入り口は、墓地の穴だけではなかったようだ。

先ほどの分かれ道の奥からはかすかに電車の走る音が聞こえていたし、きっと地下鉄のどこかにもここに至る入り口があるのだろう。

地下鉄構内や駅前でも目撃があったのはそういう訳か。

トミー「……ふむ~。 どうやら、目的地はこの地下洞窟よりもっと地下深くにあるみたいだね」

ここから先の道は、段差がいくつも続く階段状の道になっていた。

自分たち一行は黙々とその階段を下りていく。

そうしてしばらく下りていると、階段の下の方に明かりが見えてきた。

自分たちの懐中電灯や彼らが持っているランプのような小さな明かりではない。

もっと強い光源が階段を下りた先にあるのだ。

おそらくはその場所こそが目的地なのだろう。

案の定、階段を下り切ると彼はこう告げた。

ケモノ人間────さぁ、着いたぞ。 ここが私たちの暮らす街だ」

だが自分たち3人は彼の言葉などほとんど耳に入らず、ただただ目を丸くしていた。

先ほど彼らを初めて見た時と同じ位……いや、もしかしたらそれ以上に驚いていたかもしれない。

黒江「すげぇ……」

八木「まさか自分たちの街の下にこんな場所が存在していたなんて……」

2人からは驚嘆の声が漏れ、自分は唖然と口を開け呆けていた。

自分たちの目の前に広がっているのはケモノ人間たちの街────街灯によって明るく照らされている巨大な地下都市だった……。



その4へ続く





ケモノ人間に見つかり「お前は同胞なのか!?」と問われた時、信用ロールを振りました。

ま、失敗したけどね。

もし成功していたら、どうなっていたのか気になりますね!


それでは今回はこの辺で。

ネコミミ探偵トミーの事件簿『ケモノ人間を追え』その2

こんにちは、あんぱんです!

今回はリプレイ第2話です。

ちなみにこのリプレイシリーズは携帯やスマホからも読みやすいよう、なるべく1行1行を短く書くように心がけているのですが、結局、話が無駄に長ったらしく読みづらいですねw

ま、そんなことより続きをどうぞ。


前回のあらすじ
人にあらざるバケモノではないかとまで噂される、夜な夜な街に現れる謎の不審者「ケモノ人間」。
このままでは犯人扱いされかねないトミーは、自身の潔白を証明するため仲間たちと共に調査を始めるのであった。





ケモノ人間の噂を調べ始めた自分たちは、まず3人それぞれ手分けして調査を行っていた。

自分は、今回のようなオカルトじみた噂に一番詳しいのは女子高生たちだろうと考えて近場の女子高を調査場所に選び、噂について聞き込みをしていた。

だが……

トミー「新聞部なんだけど、ちょっと質問いいですか~? 最近噂のケモノ人間について調べてるんだけど、何か知ってることがあれば教えてくれないかな?」

女子高生「……すみませんが、急いでいるので」

女生徒は足早に立ち去ってしまう。

うーん、これで何人目だろうか……。

しばらく聞き込みをしているにもかかわらず、未だに誰一人としてまともに話を聞いてくれないでいた。

……明らかに自分は生徒たちに怪しまれ、避けられているようだ。

正直言うと、その理由は自分でも分かっている。

所持品の鏡を取り出して自分の姿をそこに映す。

鏡に映っているのは女子生徒に扮した自分の姿だ。

そう、自分は女装している。

校門に張り込んで聞き込みをするより学校の生徒に変装して、敷地内で尋ねて回った方がすんなり話を聞き出せるのではないかと考えての女装である。

だが、自分が避けられている原因はこの女装ではないだろう。

自分は嘘偽りなく変装の達人である。

それどころか、もともと女顔で身長もさほど高くないため、少年探偵団の小林少年がそうであったように自分も数ある変装レパートリーの中でも女装は得意な分野である。

自分の正体を知っている八木さんと黒江は自分が女装をすると白い目で見るが、赤の他人が初見で易々と男であると見抜けるはずはないのだ。

つまり警戒されている原因は紺のブレザーでもチェック柄のスカートでも、ウィッグや化粧でもない。

…………ネコミミだ。

トミー「……やっぱ外してくるべきだったかなぁ? う~む、いやいやダメだ。 外したら負けだよね!」

「ネコミミ大作戦」による事務所のPRが失敗だったと悟った後も自分がネコミミを付けていたのは、ただヤケになっていただけで特にコレといった理由はない。

だが、ケモノミミの不審者が出没し始めただなんて噂をきっかけに外すのは、なんだかプライドが許さない。

少なくとも真のケモノ人間を見つけ出し、身の潔白を証明するまではこのまま付け続けてやる。

しかしそれはそれとしても、このまま何の情報も得られずに、おめおめと事務所に帰るワケにはいかないだろう……。

トミー「仕方ない。 こうなったら校舎内に乗り込むまでよ!」

流石に男の自分が女子高の校舎の中まで入っていくのは自重していたが、最早背に腹は変えられないのだ!

……あえて言うが、これは決して女子高の校舎内に足を踏み入れてみたいという下心ではない。

あくまでもケモノ人間についての新たな情報を得ることが目的だ。

そう、純粋に!

身の潔白を晴らすため!

必要に迫られて仕方なくだ!!

トミー「そうと決まれば。 さぁ、行くぞっ!」

自分は熱い大志を胸に抱き、男子禁制「秘密の花園」に突貫した────────



────────────────────────────────


八木「申し訳ありません、警察の者ですが。 最近この辺りに不審者が出没したとの情報が寄せられ、捜査を行っています。 不審者について何か見聞きした事などはありませんか?」

先ほどまで私はケモノ人間の目撃情報が一番多かった駅前の繁華街で聞き込み調査をしていたが、少し前に聞き込みの場所を地下鉄構内に変えていた。

繁華街での聞き込みで、「怪しい人影は地下鉄構内から出てきた」との有力な証言を得ていたのだ。

男性「あー、もしかして噂のケモノ人間ってやつですか? 俺は見たことないですねぇ」

八木「そうですか……。 では不審者関連でなくても結構ですので、この辺りで最近変わった事などはありませんか?」

男性「うーん、そうだなぁ……。 ああ、そういえば! このすぐ近くってわけじゃないんですけど、郊外のビルで最近妙な新興宗教団体が活動してるらしいですよ。 なんだか警備も物々しいし不気味だなぁって、近くに住んでる友達が言ってました」

八木「なるほど、新興宗教団体…ですか。 ありがとうございます。 情報、感謝いたします」

私は男性と別れ、一人思案する。

聞き込みの前に地下鉄構内に不審な痕跡はないか、ざっと調べておいたが何も見つけることはできなかった。

さすがに地下鉄が稼働中であるこの時間帯に線路内まで詳しく調べる訳にはいくまい。

となれば、ここで得られた有益そうな情報は先ほどの男性の証言だけだ。

ケモノ人間と新興宗教団体……。

八木「……それだけ聞けば何の関係もなさそうにも思えますが、念のため調べてみてもよさそうですね」

私はその教団について詳しく調べるため、一度署に戻ることにした。



────────────────────────────────


黒江「うーん、おかしなところは何もないっスねぇ……」

俺は街の外れにある墓地を調べていた。

八木さんから聞いた警察の情報によると、通報のほとんどは駅前での目撃情報だったのだが、この墓地でも不審な影が目撃されているそうなのだ。

……もっとも、この墓場での通報者というのが肝試し中の大学生グループだったらしく、イタズラによる通報の可能性もあるらしいが。

軽く調べて回っているが、今のところ墓地に不審なところなどまったくない。

念のために墓石も1つ1つ調べているが、何かが這い出てきた様子などもない。

黒江「ケモノ人間の正体は墓から這い出た亡者ってワケじゃなさそうっスね」

……トミーか八木さんがいたら、亡者なんている訳ないと笑われていたかもしれないが、俺は至って真面目だった。

あの2人は当然ながら噂を真に受けることはなく、ケモノ人間を只の変装した不審人物と考えているだろう。

だが俺はケモノ人間の正体を噂通り、人にあらざるバケモノではないかと考えている。

なぜなら忍である俺は、そういった人にあらざる存在がこの世に実在していることを知っているからだ。

俺たち忍はそういう存在をひっくるめて「異形の者」と呼称している。

俺の育った忍の里では遥か昔から人知れず異形の者であるモノノケやアヤカシの退治を生業の1つとしてきたのだ。

そう、俺がケモノ人間の噂を追っている本当の理由は雑誌の取材などではなく、異形の者が関わっているかどうかを見定めるためなのである。

……とは言ったものの実のところ「三咲家」の養子に迎え入れられたとはいえ、まだまだ新米忍者に過ぎない俺は異形の者の存在を知識として知っているだけで、実際にこの目で見たことはない。

トミーと八木さんの2人に異形の者の存在を教えていないのも、忍である俺自身がまだ見たことがない存在を、一般人の2人に信じろと言っても説得力がないからだ。

しかし見たことはなくとも、対異形用の戦闘訓練は十分に積んでいる。

いざとなればこのクナイで……

俺は服の中に隠し持ったクナイをギュッと固く握り締めた。

黒江「…………ん?」

いつの日か向かえるであろう異形との初戦闘に思いを馳せながら、墓場の敷地内を詳しく調べていると少し不自然な藪を発見した。

パッと見では分からないが、よく見れば藪の枝が数箇所折れているではないか。

誰かがこの藪を掻き分けて通ったのかもしれない。

俺はその藪の中へと分け入り、辺りを調べてみた。

すると、そこでマンホールほどの大きさの深い縦穴を発見した。

無論、本物のマンホールがこんな藪の奥などにあるワケはない。

黒江「……どうやら、墓地でも通報ってのも只のイタズラってワケじゃなかったみたいっスね」



────────────────────────────────


調査開始から数時間後。

それぞれの場所での調査を終えた自分たちは、再び事務所に集合していた。

八木「さて、それでは早速調査結果を報告し合いたいと思います。 ……と言いたいのですが、いったいどうしたんですかトミー?」

黒江「なんか死んだ魚みたいな目で、心ここにあらずって感じっスね」

トミー「……自分はね…パンドラの箱を開けてしまったのさ……」

黒江「はぁ? 意味がさっぱり分からないんスけど?」

トミー「好奇心に負けても決して開けちゃいけない物があるってことだよ……。 例えば女子高の教室のドアとか……。 フフフ……」

さようなら……胸を焦がし追い求めた「秘密の花園」という名の理想郷……。

こんにちは……儚い幻想を打ち砕く残酷すぎる現実……。

八木「何を見てしまったのか知りませんけど、品行方正なお嬢様方を期待していたのなら近場の女子校などに聞き込みに行かずに、良家のご息女やお金持ちのお嬢様が通う学校にでも行けばよかったじゃないですか」

トミー────確かにっ!」

パンドラの箱が開かれたこの世界にも、まだ希望は残っていたのだ!

黒江「つーかそれ本来の目的忘れてないっスかねぇ。 本来の目的はケモノ人間についての新しい情報を入手することっスからね? で、今回の女子高でなにか情報は掴めたんスか?」

トミー「う~ん、まぁダメだったよね。 てへぺろ(・ω<)」

黒江「だと思ったっス……」

ネコミミを付けての調査が思った以上にハードモード過ぎたのがいけないのである。

八木「まったく、しょうがないですねぇ。 まぁ、とりあえずこちらの調査で有益そうな情報は得られているので今回は良しとしましょう」

そう言うと八木さんは街の地図を広げた。

八木「私の聞き込みでは、郊外のビルで不審な新興宗教団体が最近活動を始めたことが分かりました。 地図で言うと教団のビルはここですね」

黒江「あれ、そこは……」

トミー「ん、どした? 何か気づいたの?」

黒江「いや、そのビルからもう少し街外れに行けば、ちょうど俺が調べてきた墓地があるんスよ。 その新興宗教団体ってのがケモノ人間と何か関係してるんスか?」

八木「それはまだハッキリしていませんが、署に戻ってその教団について詳しく調べてみたところ、教団が活動を始めた時期とケモノ人間が目撃され始めた時期がほぼ同時期なんです」

教団の活動開始時期と、ケモノ人間が出没し始めた時期が同時期……。

──それはつまり教団の人間こそがケモノ人間であるということだろうか?

八木さんは、なおも報告を続ける。

八木「ですがそれ以上の情報はどれだけ聞き込みをしてもほとんど得られませんでした。 分かったのは蛇の神を祀っているという事と、教団のトップが『イキガミ様』と呼ばれている巫女である事だけです。 イキガミ様の年齢については分かりませんでした」

トミー「巫女!? 巫女かぁ~。 ……だけどよく考えたら、教団のトップってことはそれなりの歳だろうし期待はできないだろうねぇ」

「イキガミ様」という響きからも胡散臭さしか感じない。

黒江「なんの期待っスか……。 にしても祀ってるのが蛇神ってのは、ケモノ人間ってのとイメージが異なるっスね」

確かにそうだ。

教団の人間がケモノ人間であるならば、祀っているのは蛇ではなく狼などのケモノであるべきだろう。

では教団の人間はケモノ人間ではないということだろうか、むむむ……?

八木「私の考えもそこで行き詰ってしまいましてね……。 実際に教団のビルにも行ってみたのですが、入り口に警備が厳重で不用意に近寄ることができませんでした」

黒江「厳重ってのは?」

八木「入り口に警備員が2人いて、中に入る人間のボディチェックをしていましたよ」

トミー「ぽっと出の新興宗教のくせにそんな警備してるなんて、ますます怪しい教団だにゃあ」

黒江「……そのビルを調べるのは大変そうだし、先にこっちを調べたほうがいいかもしれないっスね」

そう言って黒江は封筒から写真の束を取り出して、テーブルの上に広げた。

トミー「ふ~ん、黒江もなんか手がかりを見つけてきたんだ。 そういやさっき、教団のビルのもう少し奥にある墓地を調べてたって言ってたっけ」

自分は写真を一枚、手にとって見てみる。

その写真は茂みの奥で撮られたもののようで、地面には深い深い穴が開いていた。

他の写真も同様の構図だ。

トミー「ほえ~、墓地にこんな穴が」

黒江「藪の奥に隠れてたんスよ。 結構な深さがあったんで、一人で底まで下りるのは危険だと思って、とりあえず写真だけ撮って戻ってきたんス」

トミー「……にしても、なんでこんな何枚も撮ってきたの?」

黒江「場所が薄暗かったんで、上手く撮れてるか不安で念のために何枚も撮ってきたんスよ。 まぁ、ここに戻る途中で現像してきたんで俺もまだちゃんと見てないんスけどね。 どうっスか写真の具合は?」

トミー「どうっスか、って言われても全部同じような写真にしか見えないにゃあ……」

どれもこれも同じ場所で撮った穴の写真。

自分には違いなど分からなかった。

しかし、八木さんはその中の1枚に何かを見つけたようだ。

八木「…………待ってください。 コレ……なんですかね……?」

トミー「お、何か写ってたの? どれどれ~?」

自分と黒江は揃って八木さんの持つ写真を覗き込む。

トミー「む~? ……むむ! なんだこれっ!?」

その写真に写っていた物に自分は困惑した。

同じように八木さんも困惑している。

……だがただ1人、黒江だけはその写真を見て興奮したように声を弾ませていた。

黒江「この鋭い眼光……間違いない、異形の者ッスね!」

どの程度の深さがあるのかも見て取れないほどの深く暗い穴の奥底……。

そんな暗闇の中、うっすら光る何者かの瞳が怪しく写り込んでいたのだ。



その3へ続く




自分はすっかり忘れていたのですが、GMのモナカ社長によるとトミーAPP(外見の美しさ)16らしいです。

APPの最大値は18。

13~15もあれば十分イケメンレベルなので、APP16のトミーは超絶イケメンですね!(ドヤァ)


それでは今回はこの辺で。

ネコミミ探偵トミーの事件簿『ケモノ人間を追え』その1

こんにちは、三咲さんのヘルプを聞きつけて久々登場のあんぱんです!

と言っても今回からの記事は以前の記事の加筆修正版です。

以前はキャラの性格もきちんと定まらないまま、あやふやにプレイしていましたが、TRPGにも慣れてきてキャラの性格も安定してきたので昔のリプレイを改めて書き直すことにしました。



警告

全員初心者の上に身内卓なので、ルール等はかなりガバガバです。

更に、クトゥルフTRPGの醍醐味である不気味さは行方不明になってしまい、かなりライトな内容になっています。

それでもいいよ!という方だけ続きをどうぞ~。



────────

今回のシナリオの参加者

GM:桜葉モナカ

トミーPL:あんぱん

三咲黒江PL:三咲

八木圭一PL:八木


ちなみにこの3人のキャラは、自分たちの初めてのTRPGキャラということもあり、「1つの項目に対し3回ダイスを振って、その中から好きな数値を選んでいい」というイージールールで作られたキャラなので、基本的に能力値がかなり高めです。


それでは始まり始まり~。



『ケモノ人間を追え~奇妙な共闘・改~』


自分の名前は富永大次郎

杜の都とも呼ばれるこの街で私立探偵をしている。

と言っても我が探偵社は設立したての小さな事務所に過ぎず、助手すらいない。

しかし若干23歳にして明智小五郎や金田一耕介に匹敵するほどの卓越した頭脳と、怪人二十面相を彷彿とさせる多彩な変装スキルを有する自分のことを、人々は親愛と敬意を込めてこう呼ぶ……

────「名探偵トミーと!

そんなクールでハードボイルドな自分は、今日も事務所でコーヒーを片手に窓の外をぼんやりと眺めていた。

事務所兼自宅であるここ「富永探偵事務所」は、街の中心から少し歩いたところに位置している雑居ビルの2階にある。

同じビルの1階には「喫茶モナカ」という喫茶店が入っていて食事も楽だし、交通の便も良いなかなかの好物件だ。

…………だが仕事の依頼がなかなか来ない。

今月はまだ1週間残っているというのに、今月の生活費が早くも底を突きそうだ。

トミー「はぁ~。 今日も暇だなぁ……」

おっといけない、溜息を吐いてしまった。

溜息を吐くと幸せが逃げていってしまうとも言うし、とりあえず前向きな気持ちでいよう。

考え方を変えれば自分のような超優秀な探偵が暇を持て余しているということは、この街が今日も平穏であるということを意味しているのである。

トミー「日日是好日、ってね」

焦ったところで仕方がない。

気持ちさえ前向きでいれば、そのうち運も上向いてきて仕事も舞い込んでくるだろう。

トミー「……ん?」

今日のところはのんびり街の景色でも眺めて過ごそうかと思っていた自分の耳に、誰かがビルの階段を上がってくる音が聞こえてきた。

前向きな気持ちになっていたご利益が、早速あったのだろうか。

自分の予想通り足音は事務所の前で止まり、ノックと共に事務所のドアが開かれた。

トミー「ようこそ、富永探偵事務所へ! ……って、あら?」

やってきた人物は2人。

背の高い眼鏡の男と、黒ずくめの服に赤マフラーの青年

だが両者とも仕事の依頼に来た訳じゃなかったようだ。

眼鏡の男「富永大次郎、あなたを逮捕します」

赤マフラーの青年「観念するっス」

トミー「…………なにいいぃぃーーッ!?」



────────────────────────────────

……どうしてこうなった?

頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされている。

自分の両手には手錠、目の前には警察官と雑誌記者。

トミー「……えーと、この手錠はいったい?」

眼鏡の男「身に覚えがないとでも言うつもりですか?」

「はい、ガチャー」などと言って問答無用で自分に手錠をかけた、この眼鏡の男の名は八木圭一。 

27歳の警察官だ。

だが只の警察官ではない。

元は裏社会で活躍するプロの麻雀代打ちだったが、ある日どこからともなくふらりと現れた悪魔のような天才中学生に完膚なきまでに敗れ、それを機に裏社会から足を洗い紆余曲折あり警察に転職したという訳の分からない男なのだ。

しかも未だにギャンブル好きな性格が抜けておらず、パトロールと称しては雀荘に遊びに行くという、真面目そうな見た目とは裏腹な不良刑事である。

ちなみに自分は漫画やゲームが大好きなのだが、この男も同じように漫画が趣味で、登場キャラクターのセリフを度々真似て使っている。


赤マフラーの青年「しらばっくれても無駄っスよ」

「逮捕の現場を激写っス」などと言いながら先ほどからカメラを連写している、この赤マフラーの青年は三咲黒江、18歳。

表向きはジャーナリストだ。

だが只のジャーナリストではない。

元は捨て子だったが、とある忍者に拾われて忍の隠れ里で暮らすことになり、成長と共に才能を開花させ、里の頭領である「三咲家」の養子に迎えられたという訳の分からない男なのだ。

自らを、忍者かつジャーナリストな『ニンジャーナリスト』などと名乗っている。


さてそんな「お前らなんなの? キャラ濃くない?」と言いたくなるような眼鏡と赤マフラーだが、何の因果か自分はこの2人と友人同士なのだった……。

トミー「本当に身に覚えがないんで、とにかくまずは説明しとくれー!」

八木「仕方ないですねぇ、説明しましょう」

────────自分は2人に、自分を逮捕するに至った詳しい経緯を聞いた。

なんでも2人の話によると、最近街中で「ケモノ人間」と称される不審者の目撃が相次いでいるらしい。

夜な夜な静まり返った駅周辺に現れる謎の人影……。

それだけなら別段珍しい話でもないのだが目撃者の証言によると、その人影にはケモノのような耳や尻尾がついていたそうだ。

そういった特徴から、その怪しい人影はいつしか「ケモノ人間」などと呼ばれるようになったらしい。

噂は噂を呼び、今では「人ならざる化け物が夜中に街を闊歩しているのではないか」と、まことしやかに囁かれているという……。


トミー────で、八木さんはその不審者の捜査を、黒江はその噂の取材をしているってことね」

自分の知らぬ間に駅周辺でそんな噂が立っていたとは……。

八木「ええ。 これでなぜ自身が逮捕されるのか理解できましたか? 『ネコミミ探偵トミー』さん?」

トミー「……ぐっ、ぐぬぬ!」

「ネコミミ探偵」……。

八木さんが自分をそう呼ぶのには理由がある。

そう、普段はクールでハードボイルな自分だが訳あってここ一ヶ月ほど頭にネコミミを付けたまま生活をしているのだ……。



────────────────────────────────


先月の話である────

自分は事務所に呼び出した2人に、買ったばかりのコーヒーメーカーでコーヒーを振舞っていた。

八木「急にコーヒーメーカーなんて買ってどうしたんです? トミーは苦い物、ダメじゃありませんでしたっけ?」

トミー「フッ、だからこそさ。 自分は次元大介と冴羽りょうを足して2で割らないくらいクールでカッコいい大人の男だよ? 唯一の弱点とも言っていい猫舌や苦い物を、今日から毎日コーヒーを飲んで克服しておこうと思ってね」

名探偵たる者、いきつけのカフェでコーヒーを嗜むというのはお約束なのだ。

今はまだ食事でしか世話になっていない「喫茶モナカ」だが、いつかは「マスター、いつものを」という注文だけでオリジナルブレンドを出してもらえるカッコいい男になりたいものである。

八木「どこに次元大介と冴羽りょうを足して2で割らないくらいクールでカッコいい大人の男がいるのかは分かりませんが、以前同じようにタバコに挑戦して失敗してましたからねぇ。 コーヒーは是非とも克服できるといいですね」

トミー「タバコと違って、コーヒーならミルクと砂糖を入れれば最悪なんとかなるだろうから大丈夫さ!」

名だたる多くの名探偵が愛煙家であるため、自分も一時期タバコに挑戦したが、むせるだけで全然吸えたものじゃなかった……。

結局あの時買った灰皿は、今では八木さん専用になってしまっている。

黒江「それで? 今日はそのコーヒーメーカーをお披露目するために俺たちを呼んだんスか?」

トミー「えーと、それなんだけどさぁ…。 コホンッ。 実はだね…… コーヒーメーカーを買ったら、今月の生活費がなくなってしまったのだよ(キリッ」

黒江「……馬鹿なんスか? いや、馬鹿なんスよね」

八木「さぁてコーヒーも飲み終えましたし、そろそろお暇しますか」

八木さんたちはそそくさと席を立つ。

トミー「ヘイ! 待ってよ、プリ~ズ!! 別にお金貸してって話じゃなくてさ。 富永探偵事務所をPRする方法を一緒に考えて欲しいんだよ~!」

八木「事務所のPR?」

トミー「そう。 少しでも我が探偵事務所の知名度を上げて、仕事と収入を増やせないかな~と思ってさ」

黒江「ふ~ん、PRねぇ。 一緒に考えるくらいなら別にいいっスよ。 ってか、まずトミーが考えるトミー自身の探偵としてのアピールポイントってなんなんスか?」

トミー「え? そりゃやっぱり、明智小五郎や金田一耕介に匹敵するほどの卓越した頭脳────

黒江「そのトミーがいつも言ってるお約束の謳い文句、今回みたいなマジなPRには使えないっしょ。 過大広告になりかねないっスからね。 実際は明智小五郎や金田一耕介に憧れてるだけの新米探偵だし、トミーなんて呼んでるのも俺と八木さんだけじゃないスか」

トミー「はい、おっしゃるです……(´・ω・`)」

バッサリと切り捨てられてしまった。

現実を突きつけられるのは悲しいね……。

でも明智や金田一みたいな名探偵になる夢は諦めないよー。

八木「うーん。 でも『変装』が二十面相顔負けという文句は、あながち嘘でもありませんよね。 それと、変装の他にトミーの優れた能力といえば『聴力』でしょうか」

トミー「おお、八木さん分かってる~! じゃあ『変装』と『聴覚』をいかにしてアピールすべきか、みんなで考え────

黒江「ネコミミっスね」

八木「なるほど」

トミー「……ちょっと待って。 意味が分からない」

こいつらは急に何を言ってるんです?

八木「いいですかトミー? ネコミミとはパーティグッズ売り場に必ず売っていると言っても過言ではないポピュラー且つキャッチーな変装グッズです。 そう、『変装』グッズなんです。 更にはケモノミミということで『聴覚』の良さもアピールできて、まさに一石二鳥」

トミー「いやいやいや!? 曲がりなりにもクールでハードボイルドを目指してる自分がネコミミなんて、路線変更もいいとこだよ!?」

八木「トミーは背だってそれほど高くないんですし、童顔で女顔なんですから、今のうちに路線変更しておくのもアリだと思いますよ?」

子供の頃から身体を鍛えていたので体力や筋力には自信があるのだが、八木さんの言うとおり、自分の身長は162cmと男にしては小柄な方だ。

小柄であることは変装探偵として様々な利点があるのだが、クールでカッコいい男に憧れる身としては身長181cmの八木さんが正直羨ましい……。

ちなみに黒江は自分より更に小さく、156cmしかない。

トミー「むむむ……。 けど仮に路線変更するにしたってネコミミってどう考えてもおかしいでしょ!? ネコミミとか絶対付けないからね!」

黒江「…・・・ネコミミによる効果が『変装』と『聴覚』のアピールだけじゃないと言ったら?」

トミー「いーや、トミーは自分を曲げないよ!」

黒江「本当にいいんスか? 女子にモテモテになれるかもしんないんスよ……?」

トミー──! 詳しく訊こうか」

黒江「いいっスか? この世に猫好き女子って存在はごまんといるんス。 ネコミミを付ければ当然、そんな猫好き女子たちが興味を示してくるんスよ。 つまりモテモテになるチャンスが訪れるってことっスよ!(言いくるめ)」

トミー「なん……だと……!?」

まるで雷に打たれたかのような衝撃だった。

まさかネコミミにそんな可能性が秘められていたとは……!

八木「つまり、一石二鳥どころか一石三鳥ということですね!」

黒江「その通り! モテモテっス!(言いくるめ)」

モテモテ……。

ネコミミさえ付ければ……猫好き女子たちにモテモテ……。

トミー「…………あー、そういえば今日は買い物の用事があったのを思い出したから、ちょっと出かけてくるわ。 2人は少し留守番してておくれ」

黒江「出かける前にもうひとつ。 ネコミミを付けるだけじゃなく語尾をニャーにすればモテモテ効果は倍増するはずっスよ(言いくるめ)」

トミー「それじゃ、行ってくるにゃ(キリッ」

そうして自分は生活百貨店へと駆けていった。


────────────────────────────────


そんなこんなで始めてしまった事務所のPR、名づけて「ネコミミ大作戦」。

今思えば、どうしてあんな口車に簡単に乗せられてしまったのだろうか……?

……分からない。

とにかく自分はネコミミを付けて、一ヶ月を過ごした。

だが当然、事務所の稼ぎが増えることも、女子にモテモテになる事もなかった……。

「ネコミミ大作戦」決行前と変わった事といえば、しばらく「にゃあにゃあ」言い続けたせいで今では意識せずともたまに「にゃあ」と言ってしまう恥ずかしい癖が付いてしまったことくらいだ……。

……いや、変な癖が付いただけで済めばよかったのだ。

それどころかどうだ? 

謎の不審者として手錠をかけられている始末じゃないか。

トミー「……全部貧乏が……貧乏が悪いんです……」

八木「続きは署で訊きます。 さぁ、行きましょう。 ……カツ丼くらいは奢りますよ」

黒江「……なんとも悲劇的な事件だったっスね……」

こうして自分の逮捕で、街を騒がせた謎の不審者「ケモノ人間目撃事件」は幕を閉じたのだった……。






────────────────────────────────


トミー────って、そうは問屋が卸さないにゃあ!! このまま素直に連行されると思ったら大間違いだぞ、この外道どもめぇ!! このネコミミは2人の発案だってのに、マッチポンプか!」

八木「手柄になれば、なんだっていいんですよ(ニッコリ」

おのれ、外道め……!

トミー「とにかく自分は最近夜、駅周辺なんて行ってないし! ケモノ人間だなんて知らないにゃあ!」

黒江「ふ~ん、本当に何も知らないんスね?」

トミー「知らないったら知ーらないニャ~」

黒江「やっぱ怪しいっス」

トミー「だから本当に自分じゃないんだってばー!! ええい、そこまで自分を疑うなら、自分が真犯人捕まえて自分の濡れ衣晴らしてみせるわーー!!」

八木「ほう、捜査に協力してくれるんですか? それはありがたい!」

トミー「……え?」

八木さんは手錠を外し、自分の拘束を解いた。

正直、予想外の反応だ。

トミー「……もしかして、まんまとハメられた……? 最初から自分にケモノ人間探しの協力を口約させることが目的だったりする……?」

八木「まぁ、そうですね」

八木さんはあっけらかんと言い放つ。

トミー「うぉーいッ! それならそうと最初から言ってくれればいいじゃん! 本気で連行されるかと思ったにゃあ!」

八木「それじゃあ面白くないじゃないですか(ニッコリ」

この男、やはり外道か。

八木「……それに実のところ冗談とも言い切れないんですよね。 今はまだ何の被害も報告されていませんから警察もほとんど動いていませんが、これ以上ケモノ人間の噂が大きくなれば本格的に捜査が開始されるでしょう。 そうなった場合はトミーは真っ先に重要参考人にされるでしょうね」

黒江「実際、俺たちもケモノ人間って聞いて最初に思いついたのがトミーだったっスからね」

まぁ、ネコミミなど付けていれば当然だろう。

トミー「くっ、探偵自身が容疑者にされるのもミステリーのお約束ってやつか……。 まったく名探偵も楽じゃないにゃ~!」

黒江「『自称』名探偵っスけどね」

トミー「と・に・か・く! ケモノ人間はこの名探偵トミーが必ず見つけてみせるよ!」

八木「ええ。 身内から容疑者候補を出す訳にはいきませんからね」

黒江「俺はまぁ……、ケモノ人間の正体が知れればそれでいいっス」

トミー「そうと決まれば! さぁ、2人とも早速調査開始だよっ!」

こうして自分は自らの身の潔白を証明するため2人の仲間と共に、噂の「ケモノ人間」を追いかけることになったのだった。

この時はまさかあんな大事に巻き込まれることになるなんて、自分たちは思ってもいなかった……。


その2に続く





実際のプレイ時の導入部分は以前八木さんが書いていたので、そのリンクを貼っておきます。↓
http://yagi117.blog66.fc2.com/blog-entry-201.html

生まれて初めてのTRPGで、どんな格好いい私立探偵を演じてやろうかとワクワクしていたのに、どうしてこうなってしまったのでしょうね?

まさか導入部分で仲間に容疑をかけられ逮捕されるとは~。

数分間笑い転げた後、「怪しいっスね」「知ーらないニャ~」「はい、ガチャー」をしばらく繰り返してましたw

お陰でシリアスさんは行方不明になり、シリーズの方向性がおかしな方向に。

でもまぁ、八木さんと黒江が無駄に設定の濃いキャラですから、トミーを無難にカッコいい探偵にしていたら逆にトミーが浮いていたかもしれませんねw

とりあえず今回はこの辺で。




追伸


話の中で名前を出した探偵や、セリフの元ネタなどを追記で説明しておくので、暇な人は続きへどうぞ。

場合によっては元ネタの作品のネタバレをしていることもあるので、一応注意。

区別しやすく「探偵」の名前は、「警察関係者」は、「その他の業種」はで記しておきます。
カウンター
プロフィール

サークル「ボクスズキ」

Author:サークル「ボクスズキ」


MMRと『中(役牌)』を愛する、赤き貴公子八木!!

自由と平和の使者、青き戦士あんぱん!!

LoveLoveハートの子守歌!桃色モナカ!!

超次元蘭子P!紫色の帰還者 三咲!!

緑のスー