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ネコミミ探偵トミーの事件簿『ケモノ人間を追え』その2

こんにちは、あんぱんです!

今回はリプレイ第2話です。

ちなみにこのリプレイシリーズは携帯やスマホからも読みやすいよう、なるべく1行1行を短く書くように心がけているのですが、結局、話が無駄に長ったらしく読みづらいですねw

ま、そんなことより続きをどうぞ。


前回のあらすじ
人にあらざるバケモノではないかとまで噂される、夜な夜な街に現れる謎の不審者「ケモノ人間」。
このままでは犯人扱いされかねないトミーは、自身の潔白を証明するため仲間たちと共に調査を始めるのであった。





ケモノ人間の噂を調べ始めた自分たちは、まず3人それぞれ手分けして調査を行っていた。

自分は、今回のようなオカルトじみた噂に一番詳しいのは女子高生たちだろうと考えて近場の女子高を調査場所に選び、噂について聞き込みをしていた。

だが……

トミー「新聞部なんだけど、ちょっと質問いいですか~? 最近噂のケモノ人間について調べてるんだけど、何か知ってることがあれば教えてくれないかな?」

女子高生「……すみませんが、急いでいるので」

女生徒は足早に立ち去ってしまう。

うーん、これで何人目だろうか……。

しばらく聞き込みをしているにもかかわらず、未だに誰一人としてまともに話を聞いてくれないでいた。

……明らかに自分は生徒たちに怪しまれ、避けられているようだ。

正直言うと、その理由は自分でも分かっている。

所持品の鏡を取り出して自分の姿をそこに映す。

鏡に映っているのは女子生徒に扮した自分の姿だ。

そう、自分は女装している。

校門に張り込んで聞き込みをするより学校の生徒に変装して、敷地内で尋ねて回った方がすんなり話を聞き出せるのではないかと考えての女装である。

だが、自分が避けられている原因はこの女装ではないだろう。

自分は嘘偽りなく変装の達人である。

それどころか、もともと女顔で身長もさほど高くないため、少年探偵団の小林少年がそうであったように自分も数ある変装レパートリーの中でも女装は得意な分野である。

自分の正体を知っている八木さんと黒江は自分が女装をすると白い目で見るが、赤の他人が初見で易々と男であると見抜けるはずはないのだ。

つまり警戒されている原因は紺のブレザーでもチェック柄のスカートでも、ウィッグや化粧でもない。

…………ネコミミだ。

トミー「……やっぱ外してくるべきだったかなぁ? う~む、いやいやダメだ。 外したら負けだよね!」

「ネコミミ大作戦」による事務所のPRが失敗だったと悟った後も自分がネコミミを付けていたのは、ただヤケになっていただけで特にコレといった理由はない。

だが、ケモノミミの不審者が出没し始めただなんて噂をきっかけに外すのは、なんだかプライドが許さない。

少なくとも真のケモノ人間を見つけ出し、身の潔白を証明するまではこのまま付け続けてやる。

しかしそれはそれとしても、このまま何の情報も得られずに、おめおめと事務所に帰るワケにはいかないだろう……。

トミー「仕方ない。 こうなったら校舎内に乗り込むまでよ!」

流石に男の自分が女子高の校舎の中まで入っていくのは自重していたが、最早背に腹は変えられないのだ!

……あえて言うが、これは決して女子高の校舎内に足を踏み入れてみたいという下心ではない。

あくまでもケモノ人間についての新たな情報を得ることが目的だ。

そう、純粋に!

身の潔白を晴らすため!

必要に迫られて仕方なくだ!!

トミー「そうと決まれば。 さぁ、行くぞっ!」

自分は熱い大志を胸に抱き、男子禁制「秘密の花園」に突貫した────────



────────────────────────────────


八木「申し訳ありません、警察の者ですが。 最近この辺りに不審者が出没したとの情報が寄せられ、捜査を行っています。 不審者について何か見聞きした事などはありませんか?」

先ほどまで私はケモノ人間の目撃情報が一番多かった駅前の繁華街で聞き込み調査をしていたが、少し前に聞き込みの場所を地下鉄構内に変えていた。

繁華街での聞き込みで、「怪しい人影は地下鉄構内から出てきた」との有力な証言を得ていたのだ。

男性「あー、もしかして噂のケモノ人間ってやつですか? 俺は見たことないですねぇ」

八木「そうですか……。 では不審者関連でなくても結構ですので、この辺りで最近変わった事などはありませんか?」

男性「うーん、そうだなぁ……。 ああ、そういえば! このすぐ近くってわけじゃないんですけど、郊外のビルで最近妙な新興宗教団体が活動してるらしいですよ。 なんだか警備も物々しいし不気味だなぁって、近くに住んでる友達が言ってました」

八木「なるほど、新興宗教団体…ですか。 ありがとうございます。 情報、感謝いたします」

私は男性と別れ、一人思案する。

聞き込みの前に地下鉄構内に不審な痕跡はないか、ざっと調べておいたが何も見つけることはできなかった。

さすがに地下鉄が稼働中であるこの時間帯に線路内まで詳しく調べる訳にはいくまい。

となれば、ここで得られた有益そうな情報は先ほどの男性の証言だけだ。

ケモノ人間と新興宗教団体……。

八木「……それだけ聞けば何の関係もなさそうにも思えますが、念のため調べてみてもよさそうですね」

私はその教団について詳しく調べるため、一度署に戻ることにした。



────────────────────────────────


黒江「うーん、おかしなところは何もないっスねぇ……」

俺は街の外れにある墓地を調べていた。

八木さんから聞いた警察の情報によると、通報のほとんどは駅前での目撃情報だったのだが、この墓地でも不審な影が目撃されているそうなのだ。

……もっとも、この墓場での通報者というのが肝試し中の大学生グループだったらしく、イタズラによる通報の可能性もあるらしいが。

軽く調べて回っているが、今のところ墓地に不審なところなどまったくない。

念のために墓石も1つ1つ調べているが、何かが這い出てきた様子などもない。

黒江「ケモノ人間の正体は墓から這い出た亡者ってワケじゃなさそうっスね」

……トミーか八木さんがいたら、亡者なんている訳ないと笑われていたかもしれないが、俺は至って真面目だった。

あの2人は当然ながら噂を真に受けることはなく、ケモノ人間を只の変装した不審人物と考えているだろう。

だが俺はケモノ人間の正体を噂通り、人にあらざるバケモノではないかと考えている。

なぜなら忍である俺は、そういった人にあらざる存在がこの世に実在していることを知っているからだ。

俺たち忍はそういう存在をひっくるめて「異形の者」と呼称している。

俺の育った忍の里では遥か昔から人知れず異形の者であるモノノケやアヤカシの退治を生業の1つとしてきたのだ。

そう、俺がケモノ人間の噂を追っている本当の理由は雑誌の取材などではなく、異形の者が関わっているかどうかを見定めるためなのである。

……とは言ったものの実のところ「三咲家」の養子に迎え入れられたとはいえ、まだまだ新米忍者に過ぎない俺は異形の者の存在を知識として知っているだけで、実際にこの目で見たことはない。

トミーと八木さんの2人に異形の者の存在を教えていないのも、忍である俺自身がまだ見たことがない存在を、一般人の2人に信じろと言っても説得力がないからだ。

しかし見たことはなくとも、対異形用の戦闘訓練は十分に積んでいる。

いざとなればこのクナイで……

俺は服の中に隠し持ったクナイをギュッと固く握り締めた。

黒江「…………ん?」

いつの日か向かえるであろう異形との初戦闘に思いを馳せながら、墓場の敷地内を詳しく調べていると少し不自然な藪を発見した。

パッと見では分からないが、よく見れば藪の枝が数箇所折れているではないか。

誰かがこの藪を掻き分けて通ったのかもしれない。

俺はその藪の中へと分け入り、辺りを調べてみた。

すると、そこでマンホールほどの大きさの深い縦穴を発見した。

無論、本物のマンホールがこんな藪の奥などにあるワケはない。

黒江「……どうやら、墓地でも通報ってのも只のイタズラってワケじゃなかったみたいっスね」



────────────────────────────────


調査開始から数時間後。

それぞれの場所での調査を終えた自分たちは、再び事務所に集合していた。

八木「さて、それでは早速調査結果を報告し合いたいと思います。 ……と言いたいのですが、いったいどうしたんですかトミー?」

黒江「なんか死んだ魚みたいな目で、心ここにあらずって感じっスね」

トミー「……自分はね…パンドラの箱を開けてしまったのさ……」

黒江「はぁ? 意味がさっぱり分からないんスけど?」

トミー「好奇心に負けても決して開けちゃいけない物があるってことだよ……。 例えば女子高の教室のドアとか……。 フフフ……」

さようなら……胸を焦がし追い求めた「秘密の花園」という名の理想郷……。

こんにちは……儚い幻想を打ち砕く残酷すぎる現実……。

八木「何を見てしまったのか知りませんけど、品行方正なお嬢様方を期待していたのなら近場の女子校などに聞き込みに行かずに、良家のご息女やお金持ちのお嬢様が通う学校にでも行けばよかったじゃないですか」

トミー────確かにっ!」

パンドラの箱が開かれたこの世界にも、まだ希望は残っていたのだ!

黒江「つーかそれ本来の目的忘れてないっスかねぇ。 本来の目的はケモノ人間についての新しい情報を入手することっスからね? で、今回の女子高でなにか情報は掴めたんスか?」

トミー「う~ん、まぁダメだったよね。 てへぺろ(・ω<)」

黒江「だと思ったっス……」

ネコミミを付けての調査が思った以上にハードモード過ぎたのがいけないのである。

八木「まったく、しょうがないですねぇ。 まぁ、とりあえずこちらの調査で有益そうな情報は得られているので今回は良しとしましょう」

そう言うと八木さんは街の地図を広げた。

八木「私の聞き込みでは、郊外のビルで不審な新興宗教団体が最近活動を始めたことが分かりました。 地図で言うと教団のビルはここですね」

黒江「あれ、そこは……」

トミー「ん、どした? 何か気づいたの?」

黒江「いや、そのビルからもう少し街外れに行けば、ちょうど俺が調べてきた墓地があるんスよ。 その新興宗教団体ってのがケモノ人間と何か関係してるんスか?」

八木「それはまだハッキリしていませんが、署に戻ってその教団について詳しく調べてみたところ、教団が活動を始めた時期とケモノ人間が目撃され始めた時期がほぼ同時期なんです」

教団の活動開始時期と、ケモノ人間が出没し始めた時期が同時期……。

──それはつまり教団の人間こそがケモノ人間であるということだろうか?

八木さんは、なおも報告を続ける。

八木「ですがそれ以上の情報はどれだけ聞き込みをしてもほとんど得られませんでした。 分かったのは蛇の神を祀っているという事と、教団のトップが『イキガミ様』と呼ばれている巫女である事だけです。 イキガミ様の年齢については分かりませんでした」

トミー「巫女!? 巫女かぁ~。 ……だけどよく考えたら、教団のトップってことはそれなりの歳だろうし期待はできないだろうねぇ」

「イキガミ様」という響きからも胡散臭さしか感じない。

黒江「なんの期待っスか……。 にしても祀ってるのが蛇神ってのは、ケモノ人間ってのとイメージが異なるっスね」

確かにそうだ。

教団の人間がケモノ人間であるならば、祀っているのは蛇ではなく狼などのケモノであるべきだろう。

では教団の人間はケモノ人間ではないということだろうか、むむむ……?

八木「私の考えもそこで行き詰ってしまいましてね……。 実際に教団のビルにも行ってみたのですが、入り口に警備が厳重で不用意に近寄ることができませんでした」

黒江「厳重ってのは?」

八木「入り口に警備員が2人いて、中に入る人間のボディチェックをしていましたよ」

トミー「ぽっと出の新興宗教のくせにそんな警備してるなんて、ますます怪しい教団だにゃあ」

黒江「……そのビルを調べるのは大変そうだし、先にこっちを調べたほうがいいかもしれないっスね」

そう言って黒江は封筒から写真の束を取り出して、テーブルの上に広げた。

トミー「ふ~ん、黒江もなんか手がかりを見つけてきたんだ。 そういやさっき、教団のビルのもう少し奥にある墓地を調べてたって言ってたっけ」

自分は写真を一枚、手にとって見てみる。

その写真は茂みの奥で撮られたもののようで、地面には深い深い穴が開いていた。

他の写真も同様の構図だ。

トミー「ほえ~、墓地にこんな穴が」

黒江「藪の奥に隠れてたんスよ。 結構な深さがあったんで、一人で底まで下りるのは危険だと思って、とりあえず写真だけ撮って戻ってきたんス」

トミー「……にしても、なんでこんな何枚も撮ってきたの?」

黒江「場所が薄暗かったんで、上手く撮れてるか不安で念のために何枚も撮ってきたんスよ。 まぁ、ここに戻る途中で現像してきたんで俺もまだちゃんと見てないんスけどね。 どうっスか写真の具合は?」

トミー「どうっスか、って言われても全部同じような写真にしか見えないにゃあ……」

どれもこれも同じ場所で撮った穴の写真。

自分には違いなど分からなかった。

しかし、八木さんはその中の1枚に何かを見つけたようだ。

八木「…………待ってください。 コレ……なんですかね……?」

トミー「お、何か写ってたの? どれどれ~?」

自分と黒江は揃って八木さんの持つ写真を覗き込む。

トミー「む~? ……むむ! なんだこれっ!?」

その写真に写っていた物に自分は困惑した。

同じように八木さんも困惑している。

……だがただ1人、黒江だけはその写真を見て興奮したように声を弾ませていた。

黒江「この鋭い眼光……間違いない、異形の者ッスね!」

どの程度の深さがあるのかも見て取れないほどの深く暗い穴の奥底……。

そんな暗闇の中、うっすら光る何者かの瞳が怪しく写り込んでいたのだ。



その3へ続く




自分はすっかり忘れていたのですが、GMのモナカ社長によるとトミーAPP(外見の美しさ)16らしいです。

APPの最大値は18。

13~15もあれば十分イケメンレベルなので、APP16のトミーは超絶イケメンですね!(ドヤァ)


それでは今回はこの辺で。
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ネコミミ探偵トミーの事件簿『ケモノ人間を追え』その1

こんにちは、三咲さんのヘルプを聞きつけて久々登場のあんぱんです!

と言っても今回からの記事は以前の記事の加筆修正版です。

以前はキャラの性格もきちんと定まらないまま、あやふやにプレイしていましたが、TRPGにも慣れてきてキャラの性格も安定してきたので昔のリプレイを改めて書き直すことにしました。



警告

全員初心者の上に身内卓なので、ルール等はかなりガバガバです。

更に、クトゥルフTRPGの醍醐味である不気味さは行方不明になってしまい、かなりライトな内容になっています。

それでもいいよ!という方だけ続きをどうぞ~。



────────

今回のシナリオの参加者

GM:桜葉モナカ

トミーPL:あんぱん

三咲黒江PL:三咲

八木圭一PL:八木


ちなみにこの3人のキャラは、自分たちの初めてのTRPGキャラということもあり、「1つの項目に対し3回ダイスを振って、その中から好きな数値を選んでいい」というイージールールで作られたキャラなので、基本的に能力値がかなり高めです。


それでは始まり始まり~。



『ケモノ人間を追え~奇妙な共闘・改~』


自分の名前は富永大次郎

杜の都とも呼ばれるこの街で私立探偵をしている。

と言っても我が探偵社は設立したての小さな事務所に過ぎず、助手すらいない。

しかし若干23歳にして明智小五郎や金田一耕介に匹敵するほどの卓越した頭脳と、怪人二十面相を彷彿とさせる多彩な変装スキルを有する自分のことを、人々は親愛と敬意を込めてこう呼ぶ……

────「名探偵トミーと!

そんなクールでハードボイルドな自分は、今日も事務所でコーヒーを片手に窓の外をぼんやりと眺めていた。

事務所兼自宅であるここ「富永探偵事務所」は、街の中心から少し歩いたところに位置している雑居ビルの2階にある。

同じビルの1階には「喫茶モナカ」という喫茶店が入っていて食事も楽だし、交通の便も良いなかなかの好物件だ。

…………だが仕事の依頼がなかなか来ない。

今月はまだ1週間残っているというのに、今月の生活費が早くも底を突きそうだ。

トミー「はぁ~。 今日も暇だなぁ……」

おっといけない、溜息を吐いてしまった。

溜息を吐くと幸せが逃げていってしまうとも言うし、とりあえず前向きな気持ちでいよう。

考え方を変えれば自分のような超優秀な探偵が暇を持て余しているということは、この街が今日も平穏であるということを意味しているのである。

トミー「日日是好日、ってね」

焦ったところで仕方がない。

気持ちさえ前向きでいれば、そのうち運も上向いてきて仕事も舞い込んでくるだろう。

トミー「……ん?」

今日のところはのんびり街の景色でも眺めて過ごそうかと思っていた自分の耳に、誰かがビルの階段を上がってくる音が聞こえてきた。

前向きな気持ちになっていたご利益が、早速あったのだろうか。

自分の予想通り足音は事務所の前で止まり、ノックと共に事務所のドアが開かれた。

トミー「ようこそ、富永探偵事務所へ! ……って、あら?」

やってきた人物は2人。

背の高い眼鏡の男と、黒ずくめの服に赤マフラーの青年

だが両者とも仕事の依頼に来た訳じゃなかったようだ。

眼鏡の男「富永大次郎、あなたを逮捕します」

赤マフラーの青年「観念するっス」

トミー「…………なにいいぃぃーーッ!?」



────────────────────────────────

……どうしてこうなった?

頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされている。

自分の両手には手錠、目の前には警察官と雑誌記者。

トミー「……えーと、この手錠はいったい?」

眼鏡の男「身に覚えがないとでも言うつもりですか?」

「はい、ガチャー」などと言って問答無用で自分に手錠をかけた、この眼鏡の男の名は八木圭一。 

27歳の警察官だ。

だが只の警察官ではない。

元は裏社会で活躍するプロの麻雀代打ちだったが、ある日どこからともなくふらりと現れた悪魔のような天才中学生に完膚なきまでに敗れ、それを機に裏社会から足を洗い紆余曲折あり警察に転職したという訳の分からない男なのだ。

しかも未だにギャンブル好きな性格が抜けておらず、パトロールと称しては雀荘に遊びに行くという、真面目そうな見た目とは裏腹な不良刑事である。

ちなみに自分は漫画やゲームが大好きなのだが、この男も同じように漫画が趣味で、登場キャラクターのセリフを度々真似て使っている。


赤マフラーの青年「しらばっくれても無駄っスよ」

「逮捕の現場を激写っス」などと言いながら先ほどからカメラを連写している、この赤マフラーの青年は三咲黒江、18歳。

表向きはジャーナリストだ。

だが只のジャーナリストではない。

元は捨て子だったが、とある忍者に拾われて忍の隠れ里で暮らすことになり、成長と共に才能を開花させ、里の頭領である「三咲家」の養子に迎えられたという訳の分からない男なのだ。

自らを、忍者かつジャーナリストな『ニンジャーナリスト』などと名乗っている。


さてそんな「お前らなんなの? キャラ濃くない?」と言いたくなるような眼鏡と赤マフラーだが、何の因果か自分はこの2人と友人同士なのだった……。

トミー「本当に身に覚えがないんで、とにかくまずは説明しとくれー!」

八木「仕方ないですねぇ、説明しましょう」

────────自分は2人に、自分を逮捕するに至った詳しい経緯を聞いた。

なんでも2人の話によると、最近街中で「ケモノ人間」と称される不審者の目撃が相次いでいるらしい。

夜な夜な静まり返った駅周辺に現れる謎の人影……。

それだけなら別段珍しい話でもないのだが目撃者の証言によると、その人影にはケモノのような耳や尻尾がついていたそうだ。

そういった特徴から、その怪しい人影はいつしか「ケモノ人間」などと呼ばれるようになったらしい。

噂は噂を呼び、今では「人ならざる化け物が夜中に街を闊歩しているのではないか」と、まことしやかに囁かれているという……。


トミー────で、八木さんはその不審者の捜査を、黒江はその噂の取材をしているってことね」

自分の知らぬ間に駅周辺でそんな噂が立っていたとは……。

八木「ええ。 これでなぜ自身が逮捕されるのか理解できましたか? 『ネコミミ探偵トミー』さん?」

トミー「……ぐっ、ぐぬぬ!」

「ネコミミ探偵」……。

八木さんが自分をそう呼ぶのには理由がある。

そう、普段はクールでハードボイルな自分だが訳あってここ一ヶ月ほど頭にネコミミを付けたまま生活をしているのだ……。



────────────────────────────────


先月の話である────

自分は事務所に呼び出した2人に、買ったばかりのコーヒーメーカーでコーヒーを振舞っていた。

八木「急にコーヒーメーカーなんて買ってどうしたんです? トミーは苦い物、ダメじゃありませんでしたっけ?」

トミー「フッ、だからこそさ。 自分は次元大介と冴羽りょうを足して2で割らないくらいクールでカッコいい大人の男だよ? 唯一の弱点とも言っていい猫舌や苦い物を、今日から毎日コーヒーを飲んで克服しておこうと思ってね」

名探偵たる者、いきつけのカフェでコーヒーを嗜むというのはお約束なのだ。

今はまだ食事でしか世話になっていない「喫茶モナカ」だが、いつかは「マスター、いつものを」という注文だけでオリジナルブレンドを出してもらえるカッコいい男になりたいものである。

八木「どこに次元大介と冴羽りょうを足して2で割らないくらいクールでカッコいい大人の男がいるのかは分かりませんが、以前同じようにタバコに挑戦して失敗してましたからねぇ。 コーヒーは是非とも克服できるといいですね」

トミー「タバコと違って、コーヒーならミルクと砂糖を入れれば最悪なんとかなるだろうから大丈夫さ!」

名だたる多くの名探偵が愛煙家であるため、自分も一時期タバコに挑戦したが、むせるだけで全然吸えたものじゃなかった……。

結局あの時買った灰皿は、今では八木さん専用になってしまっている。

黒江「それで? 今日はそのコーヒーメーカーをお披露目するために俺たちを呼んだんスか?」

トミー「えーと、それなんだけどさぁ…。 コホンッ。 実はだね…… コーヒーメーカーを買ったら、今月の生活費がなくなってしまったのだよ(キリッ」

黒江「……馬鹿なんスか? いや、馬鹿なんスよね」

八木「さぁてコーヒーも飲み終えましたし、そろそろお暇しますか」

八木さんたちはそそくさと席を立つ。

トミー「ヘイ! 待ってよ、プリ~ズ!! 別にお金貸してって話じゃなくてさ。 富永探偵事務所をPRする方法を一緒に考えて欲しいんだよ~!」

八木「事務所のPR?」

トミー「そう。 少しでも我が探偵事務所の知名度を上げて、仕事と収入を増やせないかな~と思ってさ」

黒江「ふ~ん、PRねぇ。 一緒に考えるくらいなら別にいいっスよ。 ってか、まずトミーが考えるトミー自身の探偵としてのアピールポイントってなんなんスか?」

トミー「え? そりゃやっぱり、明智小五郎や金田一耕介に匹敵するほどの卓越した頭脳────

黒江「そのトミーがいつも言ってるお約束の謳い文句、今回みたいなマジなPRには使えないっしょ。 過大広告になりかねないっスからね。 実際は明智小五郎や金田一耕介に憧れてるだけの新米探偵だし、トミーなんて呼んでるのも俺と八木さんだけじゃないスか」

トミー「はい、おっしゃるです……(´・ω・`)」

バッサリと切り捨てられてしまった。

現実を突きつけられるのは悲しいね……。

でも明智や金田一みたいな名探偵になる夢は諦めないよー。

八木「うーん。 でも『変装』が二十面相顔負けという文句は、あながち嘘でもありませんよね。 それと、変装の他にトミーの優れた能力といえば『聴力』でしょうか」

トミー「おお、八木さん分かってる~! じゃあ『変装』と『聴覚』をいかにしてアピールすべきか、みんなで考え────

黒江「ネコミミっスね」

八木「なるほど」

トミー「……ちょっと待って。 意味が分からない」

こいつらは急に何を言ってるんです?

八木「いいですかトミー? ネコミミとはパーティグッズ売り場に必ず売っていると言っても過言ではないポピュラー且つキャッチーな変装グッズです。 そう、『変装』グッズなんです。 更にはケモノミミということで『聴覚』の良さもアピールできて、まさに一石二鳥」

トミー「いやいやいや!? 曲がりなりにもクールでハードボイルドを目指してる自分がネコミミなんて、路線変更もいいとこだよ!?」

八木「トミーは背だってそれほど高くないんですし、童顔で女顔なんですから、今のうちに路線変更しておくのもアリだと思いますよ?」

子供の頃から身体を鍛えていたので体力や筋力には自信があるのだが、八木さんの言うとおり、自分の身長は162cmと男にしては小柄な方だ。

小柄であることは変装探偵として様々な利点があるのだが、クールでカッコいい男に憧れる身としては身長181cmの八木さんが正直羨ましい……。

ちなみに黒江は自分より更に小さく、156cmしかない。

トミー「むむむ……。 けど仮に路線変更するにしたってネコミミってどう考えてもおかしいでしょ!? ネコミミとか絶対付けないからね!」

黒江「…・・・ネコミミによる効果が『変装』と『聴覚』のアピールだけじゃないと言ったら?」

トミー「いーや、トミーは自分を曲げないよ!」

黒江「本当にいいんスか? 女子にモテモテになれるかもしんないんスよ……?」

トミー──! 詳しく訊こうか」

黒江「いいっスか? この世に猫好き女子って存在はごまんといるんス。 ネコミミを付ければ当然、そんな猫好き女子たちが興味を示してくるんスよ。 つまりモテモテになるチャンスが訪れるってことっスよ!(言いくるめ)」

トミー「なん……だと……!?」

まるで雷に打たれたかのような衝撃だった。

まさかネコミミにそんな可能性が秘められていたとは……!

八木「つまり、一石二鳥どころか一石三鳥ということですね!」

黒江「その通り! モテモテっス!(言いくるめ)」

モテモテ……。

ネコミミさえ付ければ……猫好き女子たちにモテモテ……。

トミー「…………あー、そういえば今日は買い物の用事があったのを思い出したから、ちょっと出かけてくるわ。 2人は少し留守番してておくれ」

黒江「出かける前にもうひとつ。 ネコミミを付けるだけじゃなく語尾をニャーにすればモテモテ効果は倍増するはずっスよ(言いくるめ)」

トミー「それじゃ、行ってくるにゃ(キリッ」

そうして自分は生活百貨店へと駆けていった。


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そんなこんなで始めてしまった事務所のPR、名づけて「ネコミミ大作戦」。

今思えば、どうしてあんな口車に簡単に乗せられてしまったのだろうか……?

……分からない。

とにかく自分はネコミミを付けて、一ヶ月を過ごした。

だが当然、事務所の稼ぎが増えることも、女子にモテモテになる事もなかった……。

「ネコミミ大作戦」決行前と変わった事といえば、しばらく「にゃあにゃあ」言い続けたせいで今では意識せずともたまに「にゃあ」と言ってしまう恥ずかしい癖が付いてしまったことくらいだ……。

……いや、変な癖が付いただけで済めばよかったのだ。

それどころかどうだ? 

謎の不審者として手錠をかけられている始末じゃないか。

トミー「……全部貧乏が……貧乏が悪いんです……」

八木「続きは署で訊きます。 さぁ、行きましょう。 ……カツ丼くらいは奢りますよ」

黒江「……なんとも悲劇的な事件だったっスね……」

こうして自分の逮捕で、街を騒がせた謎の不審者「ケモノ人間目撃事件」は幕を閉じたのだった……。






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トミー────って、そうは問屋が卸さないにゃあ!! このまま素直に連行されると思ったら大間違いだぞ、この外道どもめぇ!! このネコミミは2人の発案だってのに、マッチポンプか!」

八木「手柄になれば、なんだっていいんですよ(ニッコリ」

おのれ、外道め……!

トミー「とにかく自分は最近夜、駅周辺なんて行ってないし! ケモノ人間だなんて知らないにゃあ!」

黒江「ふ~ん、本当に何も知らないんスね?」

トミー「知らないったら知ーらないニャ~」

黒江「やっぱ怪しいっス」

トミー「だから本当に自分じゃないんだってばー!! ええい、そこまで自分を疑うなら、自分が真犯人捕まえて自分の濡れ衣晴らしてみせるわーー!!」

八木「ほう、捜査に協力してくれるんですか? それはありがたい!」

トミー「……え?」

八木さんは手錠を外し、自分の拘束を解いた。

正直、予想外の反応だ。

トミー「……もしかして、まんまとハメられた……? 最初から自分にケモノ人間探しの協力を口約させることが目的だったりする……?」

八木「まぁ、そうですね」

八木さんはあっけらかんと言い放つ。

トミー「うぉーいッ! それならそうと最初から言ってくれればいいじゃん! 本気で連行されるかと思ったにゃあ!」

八木「それじゃあ面白くないじゃないですか(ニッコリ」

この男、やはり外道か。

八木「……それに実のところ冗談とも言い切れないんですよね。 今はまだ何の被害も報告されていませんから警察もほとんど動いていませんが、これ以上ケモノ人間の噂が大きくなれば本格的に捜査が開始されるでしょう。 そうなった場合はトミーは真っ先に重要参考人にされるでしょうね」

黒江「実際、俺たちもケモノ人間って聞いて最初に思いついたのがトミーだったっスからね」

まぁ、ネコミミなど付けていれば当然だろう。

トミー「くっ、探偵自身が容疑者にされるのもミステリーのお約束ってやつか……。 まったく名探偵も楽じゃないにゃ~!」

黒江「『自称』名探偵っスけどね」

トミー「と・に・か・く! ケモノ人間はこの名探偵トミーが必ず見つけてみせるよ!」

八木「ええ。 身内から容疑者候補を出す訳にはいきませんからね」

黒江「俺はまぁ……、ケモノ人間の正体が知れればそれでいいっス」

トミー「そうと決まれば! さぁ、2人とも早速調査開始だよっ!」

こうして自分は自らの身の潔白を証明するため2人の仲間と共に、噂の「ケモノ人間」を追いかけることになったのだった。

この時はまさかあんな大事に巻き込まれることになるなんて、自分たちは思ってもいなかった……。


その2に続く





実際のプレイ時の導入部分は以前八木さんが書いていたので、そのリンクを貼っておきます。↓
http://yagi117.blog66.fc2.com/blog-entry-201.html

生まれて初めてのTRPGで、どんな格好いい私立探偵を演じてやろうかとワクワクしていたのに、どうしてこうなってしまったのでしょうね?

まさか導入部分で仲間に容疑をかけられ逮捕されるとは~。

数分間笑い転げた後、「怪しいっスね」「知ーらないニャ~」「はい、ガチャー」をしばらく繰り返してましたw

お陰でシリアスさんは行方不明になり、シリーズの方向性がおかしな方向に。

でもまぁ、八木さんと黒江が無駄に設定の濃いキャラですから、トミーを無難にカッコいい探偵にしていたら逆にトミーが浮いていたかもしれませんねw

とりあえず今回はこの辺で。




追伸


話の中で名前を出した探偵や、セリフの元ネタなどを追記で説明しておくので、暇な人は続きへどうぞ。

場合によっては元ネタの作品のネタバレをしていることもあるので、一応注意。

区別しやすく「探偵」の名前は、「警察関係者」は、「その他の業種」はで記しておきます。

雑談

こんばんは。三咲です。

今日は色々なことをちょこちょこ語ろうと思います。


【FGO】
なんだこれ…知らないうちにQP超貯まってるぞ…。

神イベかよ。

難易度も鬼ごろしを無理してやらなくても、鬼なかしでサクサク周回できるとか最高過ぎる…。


【デレステ】
SSR2倍とか嘘だろ…。

全然出ない。


【TRPGリプレイ】
GWの記憶が消え去りそうなので、社長に会ったら色々聞く予定だったのに、意外と会わない。

次の話で虎太郎が発狂する気がするけど(ネタバレ)、症状が何だったかすっかり忘れている。


【アンダーナイトインヴァース】
この前公式ページの特典内容が更新されて、ゲーマーズのとかいいかなーとか思って下を見たら、アマゾンの特典がマジでヤバい。

PS4持ってないのにパッケージ版買うかもしれない。


【MTG】
アモンケット信者だったのに、プッシュくじに手を出す。

そして引かない。

でも「歩行バリスタ」出たので良し。


【プロフ画像】
画像なしだと切ないので、誰か書いて(全投げ)。

とりあえず今はトミーシリーズの八木。


【ブログ】
私が今リプレイ連載してるからといって、別に他の人が記事を書いていけないわけではなく…。

明日から休日なので期待しています。


それでは、今回はこの辺で。
[ 2017/06/02 21:26 ] 三咲日記 | TB(0) | CM(0)

クトゥルフTRPGリプレイ『君といた残響』第七話

こんばんは。三咲です。

メルトリリス物語こと、FGOのCCCイベがそろそろ終わりますね。

私はCCC知らないので分かりませんが、BBちゃんの扱いはあれで良かったのでしょうか?

ヒロイン力的に。

それでは、『君といた残響』第七話、スタートです!!



side.A

「虎太郎っ!!」

虎太郎「…兄、者」

「気付いたか?」

虎太郎「――っ!!」

「うわっ!!」

虎太郎に突き飛ばされ、バランスを崩す。

なんとか踏み止まり体制を立て直すと、目の前には拳を構えた虎太郎の姿があった。

「虎太郎、落ち着け!!俺だ!!」

虎太郎「…え、あ、す…すいません!!」

正気を取り戻したのか、慌てて構えを解く。

とりあえず攻撃されなくて一安心だが、一体どうしたというのか。

虎太郎は表情に影を落とし、俯いている。

「…………」

虎太郎「…………」

二人の間を気まずい空気が流れた。

「…で、大丈夫か?コンロの前で固まってたぞ、お前」

虎太郎「はい…その、嫌な…夢を見ました」

「夢?今ここでか?」

虎太郎「はい…」

それは、白昼夢というやつだろうか?

夢…。

そう言えば、俺も今朝は嫌な夢で目が覚めた。

そして、気付いた時には父さんと虎太郎に憎しみを向けていた。

そのことは言い辛くて黙っていたが、もしかしたら…。

虎太郎もまた、同様の夢を見せられたのではないだろうか。

「――――」

ドクン、と。

大きく心臓が鳴った気がした。

「…悪趣味この上ない」

虎太郎「兄者?」

「虎太郎っ!!」

虎太郎「はい…」

虎太郎の両肩に手を置く。

虎太郎「えっ…」

驚いた様子の虎太郎。

すぐに視線を反らそうとするが、その瞳を真っ直ぐに見据えて言い放った。

「俺はお前の味方だ!!」

虎太郎「――――」

時が、止まった。

虎太郎「な、な、何ですか急に!?」

「兄には分かる。つらかったろう。不安であったろう」

虎太郎「兄者…」

「この怪現象は俺たち家族の絆を壊そうとしている。気付いているな?」

虎太郎「はい…。すると、兄者も…?」

「ああ、見たさ。恐ろしい夢であった。…だが、所詮は夢。事実無根のまやかしに過ぎない!!」

虎太郎「事実無根の…まやかし…」

「そうだ。虎太郎、真実の兄は今お前の目の前にいる」

虎太郎「あ、兄者…」

「夢に飲まれるなよ?」

虎太郎「はいっ!!」

「よし、ダイニングに向かうぞ。背中は任せた」

言って、ダイニングへ続く扉の前に歩み出る。

部屋の中には人の気配。

だが、関係無い。

俺はこの怪現象を引き起こした何者かを、一発ぶん殴ってやらないと気が済まないのだから。

ドアノブを握る手に力を入れる。

ガチャリ。

扉が音を立てて開いた。




ソレは、母と同じ服を着て、母の席に座っていた。

手には、母のマグカップ。

いつもの母のようにコーヒーを飲みながら、俺たちが起きるのを待っていたのだろうか。

ただ、ソレの姿は母とは違った。

ソレは、とても人とは思えない姿だった。

頭部が逆さま。

顔は奥にめり込んでいて、目や口がどこにあるかも分からない。

腹がぱっくりと裂けていて、腸が飛び出ている。

足は四本。

その全てがあらぬ方向に曲がっていた。

なんだ。

なんなんだ、こいつは。

俺が扉の側で硬直していると、ソレが俺に気付いてこちらを向く。

そして、ソレは。

母がそうするように。

どこか優し気に。

『今日の朝ごはんは目玉焼きよ』

と、おぞましい声で笑った。


つづく


今回は、楓の心理描写の中で、家族や虎太郎への想いがくどくならないように気を付けました。

まだ暑苦しい感が出てしまっていますが…。

それでは、今回はこの辺で。
[ 2017/05/22 18:26 ] TRPG『君といた残響』 | TB(0) | CM(0)

クトゥルフTRPGリプレイ『君といた残響』第六話

こんばんは。三咲です。

セクシーギルティイベ…だと…。

ドリンク貯めてて良かった。

それでは、『君といた残響』第六話、スタートです!!



side.B

階段を駆け降り、ホールへ辿り着く。

虎太郎「母上っ…!!」

すぐさま両親の寝室へと向かおうとするが、その瞬間背後から腕を掴まれた。

「待て虎太郎」

虎太郎「兄者…?」

兄が声を潜めるようジェスチャーをしながら、自分を制止する。

「ダイニングの方に人の気配がする…。ドタバタ階段を降りてしまって手遅れかもしれないが、キッチンの方から回り込もう」

虎太郎「…わかりました。自分が先行します」

キッチンに続く廊下を足音を立てないよう注意して進む。

この廊下、そしてホールも、二階と同様に一晩のうちに老朽化し、血肉をぶちまけたかのような汚れに染まっていた。

すえたような悪臭が鼻に付く。

周囲に気を配りながら進むと、程なくしてキッチンの扉の前に到着した。

「何か聞こえるか?」

虎太郎「…分かりません」

「…俺もだ」

扉に耳を立てて中の様子を探ろうとするが、物音らしい物音は特に聞こえない。

「…仕方ない、出たとこ勝負だ。開けてみよう」

虎太郎「はい…!!」

ふう、と息を吐き拳を構える。

虎太郎「…いきます」

兄に合図をして、目の前の扉を開け放った。




虎太郎「…誰もいませんね」

部屋の中はやはり異質。

しかし、怪しい人影や血まみれの幽霊のような存在は見て取れなかった。

「気を抜くなよ。本命はダイニングだ」

虎太郎「わかってます。突入しますか?」

「いや、まずはここを軽く見ておこう。何かあるかもしれない」

虎太郎「では、手分けして」

兄は戸棚を、自分は調理台の周りを調べることにした。

部屋全体がグロテスクな様相になっていること以外には、とりわけ変わったことがないように思える。

と、その時。

ガスコンロの上に置かれた、見覚えのない鍋の存在に気付いた。

虎太郎「こんな鍋うちにあったかな?」

何気なく鍋の取っ手を掴んだ瞬間、景色が暗転した。




気が付くと、自分は椅子に縛られていた。

キッチンの奥から顔の見えない【誰か】が現れる。

その人物はやはり、自分の兄であるような気がした。

【誰か】が手にした鍋には、亀の入ったスープ。

自分はそれを見た途端、何故か悲しくて。

悔しくて。

涙を流して俯いた。

その顔を、【誰か】がぐいと持ち上げて、口にスープを流し込む。

やめて…。

お願いだからやめてよ…。

どんなに自分が懇願しようと、叶うことは無い。

吐き出すことすら許されず、その行為は鍋が空になるまで続けられた。


つづく


そろそろGWの記憶がおぼろげになってきました。

今度社長に会ったらリプレイ関連を色々確認取ってみようと思います。

それでは、今回はこの辺で。
[ 2017/05/18 00:06 ] TRPG『君といた残響』 | TB(0) | CM(0)
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